5.2 国民健康保険料の引き上げが続く要因
国民健康保険料の引き上げが続く主な要因は、高齢化による後期高齢者の医療費増加や中間所得層への負担増加に配慮していることが影響していると考えられます。
2022年から団塊世代が75歳以上の高齢者になることで、より後期高齢者の医療費が増加するといわれています。
さらに、少子高齢化によって現役世代が減少しているのも抑えておきたいポイントです。
このままでは、2025年にかけて保険料の負担が上昇すると見込まれています。
また、高齢化に伴う医療費の増加や被保険者の所得が停滞するなかで、保険料の上限額を引き上げず、保険料率アップによって保険料を確保すると中間所得層の負担が重くなります。
しかし、保険料の上限を引き上げれば、中間所得層に配慮した保険料率を設定可能です。
6. まとめにかえて
昨今の物価上昇により、公的年金受給者のなかには生活が苦しくなってしまうのではないかと不安になってしまう方もいるのではないでしょうか。
しかし、公的年金は物価の変動などに応じて毎年改定する仕組みを採用しており、受給額が大幅に目減りするリスクを抑えられます。
一方で税金や保険料などが天引きされるため、額面通りの金額を受け取れない点には注意が必要です。
また、少子高齢化に伴って現役世代の負担を軽減する目的で、2024年4月に後期高齢者医療制度の保険料が改正されました。
一定以上の課税所得のある方は、保険料の上限額が段階的に引き上げられます。今後の負担増を考慮して、資産運用などの選択肢も検討してみてください。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省保険局「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」
- 厚生労働省「令和5年度の国民年金の加入・保険料納付状況を公表します」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「介護、国保、後期高齢における保険料(税)の特別徴収について」
- 厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の見直しについて」
- 厚生労働省「将来推計人口(令和5年推計)の概要」
湯田 浩平