政府は、デフレ完全脱却を目指し、低所得世帯に対して「1世帯あたり10万円の給付実施」を発表しました。
2024年度の新たな給付対象は、2024年6月3日時点で「住民税非課税世帯」もしくは「住民税均等割のみ課税者である世帯」です。
ただし、2023年度に実施された「7万円または10万円給付」の支援を受けた世帯は対象外です。
給付金は2024年夏頃に予定されていますが、具体的に「住民税非課税世帯」とはどのような世帯を指すのでしょうか。
これらの詳細や年収目安、2024年度の給付金の実施時期や申請方法についても紹介します。
1. 「住民税非課税世帯」と「住民税均等割のみ課税世帯」はどのような世帯を指すのか
まずは、「住民税非課税世帯」と「住民税均等割のみ課税世帯」の概要から確認していきましょう。
「住民税非課税世帯」とは、住民税が課税されない世帯のことを指します。
一定の所得がある場合に一律の額が課税される税金「均等割」と、所得に応じて課税される税金「所得割」の2種類があります。
この住民税の「均等割」と「所得割」の両方が課税されない世帯が「住民税非課税世帯」です。
【写真1枚目/全5枚】個人住民税(均等割・所得割)の概要、2枚目以降では住民税非課税世帯に該当する年収目安や住民税非課税世帯の割合をご紹介1/5
一方で、「住民税均等割のみ課税世帯」の場合は、「所得割」は非課税で、「均等割」は課税世帯を指します。
では住民税非課税世帯になった場合、どのような優遇措置があるのでしょうか。
2. 住民税非課税世帯に対する優遇措置5つ
ここからは、住民税非課税世帯に対する優遇措置を5つご紹介します。
2.1 国民健康保険料
国民健康保険料は、所得が一定以下の場合、保険料が減免される場合があります。
たとえば、秋田県横手市では、前年中の世帯の総所得金額が一定基準以下の場合には、均等割額・平等割額を自動で軽減算定します。軽減の割合は、7割・5割・2割の3種類があります。
2.2 国民年金保険料
国民年金保険料は、前年度の所得が「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」以下の場合に保険料が全額免除されます。
全額免除以外にも、4分の3免除や半額免除、納付猶予制度などがあります。
2.3 介護保険料
介護保険料は、自治体ごとに保険料額が異なります。
住民税が非課税の場合は保険料が軽減されることがあります。
たとえば、大阪市天王寺区では「生活困窮軽減」として世帯全員が住民税非課税で、かつ一定の条件を満たす人は、第4段階保険料額(年間7万2846円)の2分の1に軽減するとしています。
2.4 医療費
公的健康保険には高額療養制度があり、1ヶ月の医療費が上限額を超えると還付が受けられる仕組みになっています。
住民税非課税世帯の場合はひと月の上限額が低く抑えられています。
2.5 教育費
幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳~5歳までの子どもの利用料は無料になっていますが、住民税非課税世帯の場合は0歳~2歳の段階で無償化となります。
高校の授業料や大学の学費が大幅にカットされる支援措置もありますが、自治体単位で実施している施策もあるため、すべての方に該当するわけではありません。
3. 「住民税非課税世帯」の所得目安
住民税非課税世帯の条件について、具体的には自治体により異なります。
東京23区内を例にとってみると、例えば「同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合」の場合、所得が年間で45万円以下であることが目安です。
3.1 東京都23区内で「住民税非課税世帯」に該当する条件(所得等)
(1) 生活保護法による生活扶助を受けている方
(2) 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
(3) 前年中の合計所得金額が下記の方
- 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
- 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下
これらの所得基準は年収とは異なり、他の収入や資産の状況も考慮されます。
支援を受けるためには、自治体の詳細な基準や申請方法を確認する必要があります。市区町村のホームページや役所で最新の情報を取得し、必要な手続きを行ってください。
次章で目安となる収入換算も確認しましょう。
4. 「住民税非課税世帯」に該当する年収の目安額
住民税非課税世帯に該当する年収の目安額として、ここでは東京都港区と大阪市の場合で確認してみます。
4.1 住民税非課税世帯に該当する年収(港区のケース)
東京都港区では、住民税非課税世帯に該当する年収として以下のとおり提示されています。
- アルバイトやパートの給与収入が100万円以下
- 65歳以上で年金受給のみの人は、年金収入が155万円以下
- 65歳未満で年金受給のみの人は、年金収入が105万円以下
- 不動産収入等所得がある人は、収入から必要経費を引き、合計所得が45万円以下(令和2年度まで35万円以下)
4.2 住民税非課税世帯に該当する年収(大阪市のケース)
続いて大阪市での年収目安も確認しましょう。
- 給与収入で扶養親族なしの場合は100万円以下
- 65歳以上の年金受給者で扶養親族なしの場合は155万円以下
- 65歳未満の年金受給者で扶養親族なしの場合は105万円以下
給与収入の場合、年収100万円が住民税非課税の目安です。
年金収入では、65歳以上で年収が155万円以下、65歳未満で年収が105万円以下が住民税非課税世帯となります。
5. 年代別「住民税非課税世帯」世帯割合を一覧表で確認
厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」から、年代別の住民税非課税世帯の割合をみていきます。
- 30歳代:9.2%
- 40歳代:9.2%
- 50歳代:11.3%
- 60歳代:19.2%
- 70歳代:34.9%
- 80歳代:44.7%
60歳代では、約2割が住民税非課税世帯となっています。さらに、80歳代では44.7%が住民税非課税世帯に該当しています。
「住民税非課税世帯」となるのは高齢者の割合が高いようです。
参考までに、住民税非課税世帯を母数とした場合、70~79歳が占める割合は37%、80歳以上が占める割合は29%であり、70歳代以上が合わせて66%となっています。
高齢者は退職後に給与収入がなくなり、主な収入源が年金になることが多いです。
年金収入は現役時代の給与よりも少ないため、所得基準を満たしやすくなり、住民税非課税の対象となりやすいと考えられます。
また年金収入に対する非課税基準が比較的緩やかであるため、年金受給者が住民税非課税世帯になりやすいという側面もあります。
6. 2024年度の10万円給付はいつ実施されるか
2024年度から新たに開始される住民税非課税世帯等への10万円給付は、自治体によって異なるものの、多くの自治体では2024年夏頃に支給される予定です。
該当世帯には、7月頃から順次、給付に関する書類が送付されます。
6.1 申請方法と申請期限
10万円給付の申請方法は、送付された書類に必要事項を記入し、必要書類を添付して返送することで完了します。ただし、公金受取口座をデジタル庁に登録している世帯は、原則として申請が不要です。
申請期限は、9〜10月頃としている自治体が多いため、忘れずに送付するようにしましょう。
7. まとめにかえて
本記事では「住民税非課税世帯」と「住民税均等割のみ課税世帯」の概要や年収目安について解説してきました。
2024年度の10万円給付対象は、「住民税非課税世帯」もしくは「住民税均等割のみ課税世帯」となっています。
申請方法をはじめとした10万円給付に関する情報は各自治体のウェブサイトに掲載されています。
ご自身が対象となるかを確認し、該当するなら手続き内容を確認しておきましょう。
参考資料
- 東京都主税局「個人住民税(税金の種類)」
- 総務省「個人住民税」
- つくば市「低所得者世帯への給付金(令和6年度 新たに住民税非課税となる世帯または新たに住民税均等割のみ課税となる世帯)」
- 墨田区「令和6年度住民税非課税世帯等給付金」
- 大阪市「個人市・府民税が課税されない方」
- 港区「住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか。」
- 横手市「世帯の所得により税額が軽減されます」
- 天王寺区「介護保険料について」
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
- 財務省「住民税について教えてください。所得税とはどう違うのですか?そもそも国税と地方税の違いはなんですか?」
- 首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」2024年6月21日
中本 智恵