筆者は普段、20代~60代のお客様とお話しする機会が多いですが、どの年代の方からも、「老後のお金が心配だ。」という言葉をよくいただきます。
老後、退職して給与所得がなくなった後に年金だけで生活していけるのかということに、漠然とした不安を抱えている人は少なくないでしょう。
実際に、総務省が発表しているデータによると、無職の夫婦世帯のひと月当たりの収支は、約4万円の赤字となっています。
また、直近では電気・ガス価格激変緩和対策事業が終了し、6月以降で光熱費が値上がりする見通しとなるなど、物価やサービスの価格上昇の動きも続いており、老後を見据えた準備にも一工夫必要な状況です。
『老後資金をいまから準備していこう』『何かしら取り組み始めないといけない』という意識が高まる中、まずは現状を知り、具体的にどれくらいお金を準備すべきなのか知ることが重要です。
今回は60歳代・二人以上世帯の貯蓄額と、今実際にシニア世代が受取っている年金額を確認し、家計収支がどうなっているのかみていきましょう。
1. 【60歳代の夫婦世帯】平均貯蓄額はいくら?中央値との差は約1300万円に
まずは現代の60歳代の平均的な貯蓄額を確認していきます。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」より、60歳代・二人以上世帯の貯蓄事情を確認しましょう(※金融資産を保有していない世帯を含む)。
1.1 【60歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値
- 平均:2026万円
- 中央値:700万円
上記を見ると、60歳代の平均貯蓄額は以前「老後2000万円問題」で話題となった2000万円を超えています。
しかし、平均は一部の富裕層に影響されるため、より実態に近い中央値をみると約1300万円も下がり、700万円となっています。
金額ごとに見ると貯蓄ゼロが約2割の一方で、3000万円以上も約2割となっています。
現代シニアでも貯蓄格差が大きいようすがわかります。