内閣府が2024年6月に公表した「令和6年版高齢社会白書」によると、65歳以上の人口は3623万人でした。

総人口に占める割合は29.1%で、全体の約3割が65歳以上の高齢者となっています。

高齢化率が徐々に増加するなか、シニアの収入や貯蓄の実態はどのようになっているのでしょうか。

今回は、老後の生活をおくる70歳代の就労状況や平均年収について解説します。

記事の後半では、貯蓄の実態や内訳についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

1. 70歳代の就労状況は?シニアの就業率は年々上昇

内閣府が公表した「令和6年版高齢社会白書」をみると、65歳以上の就業率は上昇傾向にあります。

1.1 65歳以上の就業率は上昇傾向

【写真1枚目/全5枚】65歳以上の就業率。次の写真で「産業別」の割合もチェック1/5

65歳以上の就業率

出所:内閣府「令和6年版高齢社会白書」

2013年と2023年を比較すると、70歳代の就業率は以下のとおり増加しました。

  • 70歳以上74歳以下:10.7ポイント増加
  • 75歳以上:3.2ポイント増加

産業別の就業者数を2013年と比べてみると「農業・林業」を除くすべての産業で就業者数が増加しています。

1.2 産業別の65歳以上の就業率

産業別の就業率2/5

産業別の就業率

出所:内閣府「令和6年版高齢社会白書」

最も就業者数が高かった産業は「卸売業・小売業」でした。

次いで「医療・福祉」「サービス業」が続きます。

70歳代男性の雇用形態を確認すると、全体の75%が非正規の職員や従業員でした。

非正規雇用者率3/5

非正規雇用者率

出所:内閣府「令和6年版高齢社会白書」

働く70歳代男性の4人に1人は、正規雇用されながら収入を得ているということです。

一方、女性の非正規雇用の割合は、70歳以上74歳以下で85.4%でした。

75歳以上の非正規雇用の割合は、75%となっています。

70歳代でも仕事をしている割合が徐々に増加しています。

では、さまざまな世帯の要件に分けて、70歳代の年収を確認しましょう。

2. 70歳代の収入内訳

総務省統計局が2024年5月17日に公表した「家計調査(貯蓄・負債編)」によると、70歳代の平均年収は423万円でした。

70歳代の年収が、どのような収入から構成されているのか、勤労世帯と無職世帯に分けて解説します。

2.1 勤労世帯

「家計調査(家計収支編)」によると、70歳代で勤労世帯の毎月の収入は、41万7793円でした。

収入の内訳をみると、以下のとおりでした。

  • 勤め先収入:23万4318円
  • 事業・内職収入:5341円
  • 年金などの収入:17万8134円

高齢者の就業率は今後も増加する見通しなので、勤め先から収入を得ながら老後生活を過ごす人が、今後も増えていくでしょう。

では、仕事をせずに年金を受給している世帯の収入状況を確認します。

2.2 無職世帯

70歳代の無職世帯の毎月の収入は、以下のとおりでした。

  • 70歳以上74歳以下:25万7265円
  • 75歳以上79歳以下:24万1538円

そのうち、年金などの収入は以下のとおりです。

  • 70歳以上74歳以下:21万79円
  • 75歳以上79歳以下:19万8399円

収入のうち、約8割が年金となっています。

以上から、働いている世帯と無職世帯で、収入の構成が大きく異なりました。

では、貯蓄の平均額や内訳について確認しましょう。

3. 70歳代の貯蓄内訳

総務省統計局の「家計調査(貯蓄・負債編)」をみると、二人以上の世帯における70歳代の平均貯蓄額は、2503万円でした。

貯蓄額の内訳は、以下のとおりです。

  • 通貨性預貯金:744万円
  • 定期性預貯金:863万円
  • 生命保険など:416万円
  • 有価証券:468万円
  • 金融機関外:12万円

預貯金の割合は、全体の64%でした。

勤労世帯に限ると、貯蓄の平均額は2106万円でした。

貯蓄の内訳を確認すると、以下のとおりです。

  • 通貨性預貯金:716万円
  • 定期性預貯金:583万円
  • 生命保険など:508万円
  • 有価証券:296万円
  • 金融機関外:4万円

二人以上の世帯に比べて、勤労世帯の貯蓄平均額が少ない結果となりました。

貯蓄や資産が少ないと生計を立てられないので、生活を維持するために働いているともいえます。

実際に「令和6年版高齢社会白書」を確認すると、70歳代の約3割が生活に不安を感じる結果となりました。

経済的な不安があるか4/5

経済的な不安があるか

出所:内閣府「令和6年版高齢社会白書」

また、負債額をみると、二人以上の世帯と勤労世帯で約50万円の差が生じました。

  • 二人以上の世帯:78万円
  • 勤労世帯:121万円

働いている世帯の負債額が多くなっているので、負債を返済する目的で働いている可能性があります。

以上から、70歳代の収入や貯蓄額は、働く世帯と年金受給世帯で異なる結果となりました。

4. 70歳代の生活は多様化している

70歳代の生活は多様化している5/5

高齢の男性の写真

polkadot_photo/shutterstock.com

70歳代の就業者数の推移をみると、徐々に増加している傾向にありました。

定年をむかえたら年金で生活するだけだった時代と異なり、今は「仕事」を老後の生きがいとして、選択する人もいるでしょう。

一方で、生活を下支えするために、やむを得ず働かないといけない70歳代もいるでしょう。

また、公的年金の制度が維持できるか不安視されているため、今後も仕事をする70歳代が増加するトレンドは続くでしょう。

仕事をする目的や意味が、人によって大きく違う時代となりました。

今後、就労状況や70歳代の年収事情がどのように推移するか、引き続き注目が集まります。

【編集部よりご参考】

参考までに、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」をもとに、70歳代2人以上世帯における「貯蓄額ごとの分布」もご紹介します。

  • 金融資産非保有:19.2%
  • 100万円未満:5.6%
  • 100~200万円未満:5.1%
  • 200~300万円未満:4.3%
  • 300~400万円未満:4.7%
  • 400~500万円未満:2.5%
  • 500~700万円未満:6.2%
  • 700~1000万円未満:5.8%
  • 1000~1500万円未満:10.2%
  • 1500~2000万円未満:6.6%
  • 2000~3000万円未満:7.4%
  • 3000万円以上:19.7%
    • 平均:1757万円
    • 中央値:700万円

参考資料

川辺 拓也