・ちゃんと寝ているはずなのに、朝起きると身体がだるい。
・頭が冴えず、なんだかやる気も出ない。
・それでも毎日やるべき仕事はなくならず、疲労は蓄積されるばかり……。
多忙なビジネスパーソンには、こんな「寝てもとれない疲れ」に悩まされている方が多いのではないでしょうか。
そうした現代人特有の疲労にフォーカスした独自の疲労回復メソッドを展開しているのが、疲労回復専用ジム「ZERO GYM」。今回は同ジムのメソッド考案者の松尾伊津香氏に、「寝ても取れない疲れ」を回復に導く効果的な方法を教えてもらいました。
ちなみに同ジムは2017年6月にオープンし、今年4月にはメソッドをまとめた書籍『超疲労回復』を刊行、5月30日には東京・丸の内で出張イベント「超疲労回復ナイト」を開催しました。
「ただ寝る」だけでは疲れが取れない理由
睡眠は疲労回復の基本であり、欠かせないもの。でも、寝ているにもかかわらず疲れが取れないとしたら、それは睡眠の「前」に問題があるからかもしれない。
1日の終わり、私たちの脳と身体はクタクタに疲れ切っている。血流は滞り、筋肉はこり固まり、頭の中は仕事のことや悩み、ネットで見たニュースなど、終始いろんなことがぐるぐると巡る……。言うなれば、脳と身体がガチガチに緊張している状態だ。
こんな状態のまま寝たところで、本当の意味での疲労回復は叶わない。入眠はもちろん、睡眠中の質にも悪影響を及ぼすからだ。
「身体の不調」の大きな原因になるのは?
血流の悪化は慢性的な疲労や肩こりなど、多くの不調の原因となるので、決して甘く見てはいけない。
特にデスクワークが中心の人、運動不足だと感じる人は要注意。
普段「動いていない」ということは、それだけ血流が悪化しやすく、疲れの原因となる老廃物も溜まりやすいということだ。意識して流さないことには、血流はどんどん滞り、疲れも容赦なく溜まっていく。
身体疲労を取るには「股関節」を動かす
ここで効果を発揮するのは、「身体を動かすこと」。「えっ、疲労回復したいのに運動?」と疑問に思った方もいるかもしれない。だが、身体の血流をよくし、しっかりとコリをほぐして老廃物を流すためには、身体をしっかり動かすことが必要不可欠なのだ。
特に有効なのが「股関節の圧迫」。股関節は身体の中でも特に大きな関節で、たくさんの血液が流れている部分。よって運動不足や長時間の座り姿勢により股関節の血流が滞ると、身体の疲労はどんどん溜まっていく。
逆に言えば、ここを集中的にほぐすことで、効率よく疲労回復をはかることができる。水が出ているホースの先をつまんで、せき止めてから手を離すと、勢いよく水が出てくるのと同じく、一度あえて圧迫してから解放することで、普段詰まっている血流やリンパが勢いよく流れ、滞りを解消できるというわけだ。
「運動」がおすすめの理由
もちろんマッサージや整体でも、身体のコリやこわばり、固くなった関節や筋肉を緩めて血流をよくし、疲労を回復させる効果は十分に期待できる。
しかし、筋肉には「弛緩」と「収縮」という2面性がある。この筋肉のバランスを崩していると、身体の疲労は蓄積されやすくなってしまうのだ。
筋肉を緩めると同時に「締める」という動きを加えると、筋肉が本来もつ可動域が徐々に取り戻され、常に筋肉の調整が行われるようになってくる。よって自然に血流の悪化を防ぐ、疲れにくい身体づくりが可能となる。
本当に疲れていて動けないとき、マッサージやリラクゼーションの力を借りるのはとても大切なこと。ただ、少し長期的な視点を持って「根本的に疲れにくい身体になりたい」と思うのであれば、自ら身体を動かすことが必要になってくる。重要なのは「使い分け」なのだ。
首回し・肩回しで筋肉をほぐす
ただ、「身体を動かす」といっても、いきなり激しい動きをする必要はないので安心してほしい。まずは自分が「気持ちいい」と感じられるような簡単なストレッチから入るとよい。
特にオススメなのは、パソコンやスマートフォンの使用によってコリが出やすい「首・肩」から行うこと。写真1(別画像)を見てほしい。
[01]吐く息で顎を引いて顔を前に倒し、後ろの首筋から後頭部にかけての部分が伸びているのを感じる。
[02]吸う息で左から半円を描くように頭をゆっくりと回す。吐く息で右から半円を描くように頭をゆっくりと回す。2〜3周したら反対にも回す。
※首を後ろに傾けるときは、拳一つ分空けて回すこと(傾けすぎて潰してしまうと、頚椎を痛める原因になる)
血流改善のターミナルポイント「股関節」に効くポーズ
さて、血流をよくし、老廃物をしっかり流すことをメインにした動きもご紹介しよう。前述した通り、ここで特に動かすべき部位は「股関節」。オススメは「ランジ」というポーズだ。写真2(別画像)をご覧いただきたい。
[01]右足を一歩前に出し、左ひざをつく。吐く息でお尻の重さを下に落として、右の股関節で身体の重さを感じるとともに、左の鼠径部(そけいぶ:太ももの付け根の内側)の伸びも意識する。
※前足の踏みしめが緩むと膝を痛める原因になるので、足の裏は常にしっかりと床を捉えておく。また、前足の外側に体重が乗りやすいので、親指の付け根をしっかりと床に下ろす
[02]吸う息でお尻を後ろに引いて股関節の圧迫を開放する。[01]と[02]を繰り返す。
いかがだろうか。「運動」と身構えず、ぜひ気軽に身体を動かすことに挑戦してみてほしい。
ここまで「身体疲労」の回復方法を中心に解説してきたが、現代の疲れの原因としてもう1つ、避けては通れないものがある。