3.3 税金の天引き額の算出方法
年金から天引きされている税金は「所得税」と「住民税」です。
所得税の天引き額は以下の計算式から求められます。
課税所得(所得-各種控除)×所得税率(5.105%※)※所得税率5.105%は195万円まで
課税所得は、所得金額70万円から各種控除を差し引いた金額となります。
今回のモデルケースでは、基礎控除と社会保険料控除のみ適用のため、所得金額からこれらの金額を差し引き、課税所得「3万7697円」が求められます。
この課税所得に所得税率5.105%をかけ、所得税「約1924円」が算出できます。
住民税の天引き額は以下の計算式から求められます。
課税所得(所得-各種控除)× 住民税率+均等割額 - 調整控除額
課税所得の計算方法は所得税と同様ですが、基礎控除額が所得税とは金額が異なっているため注意しましょう。
- 所得税の基礎控除額:48万円
- 住民税の基礎控除額:43万円
住民税率、均等割額は地域によって異なり、練馬区の場合はこのようになっています。
- 住民税率:10%
- 均等割額:5000円
- 調整控除額:2500円
これを参考に、住民税の計算をした場合、年額1万1269円となり、月に約939円が天引きされることがわかります。
これらを踏まえ、年間の手取り額は約160万円、月額の手取り額は約13万3700円になります。
4. 6月に送付される年金振込通知書を確認しよう
本記事では、年金から天引きされる税金・社会保険料の概要とともに、厚生年金「月額15万円」の手取り額について紹介していきました。
現役時代と同じように、年金からも税金や社会保険料が天引きされるため、老後の家計収支を考える場合は、「手取り額」でシミュレーションすることが大切です。
天引き額はお住まいの地域や収入、年齢などによっても異なりますが、総支給額のおよそ10%〜15%が天引きされるというイメージを持っておけると良いでしょう。
ご自身の年金額から天引きされる具体的な額が知りたい場合は、6月に送付される年金振込通知書を確認すると良いでしょう。
年金振込通知書には、新年度から支給される年金手取り額や、天引き額も記載されているため、ご自身の年金から「何が・どのくらい」天引きされているか確認しておくことをおすすめします。
参考資料
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
和田 直子