4. 年金受給者に「住民税非課税世帯」が多い理由

あくまでも平均額をもとにした仮説なので、当てはまらないケースもありますが、女性の単身者は住民税非課税世帯に該当する可能性が高いということは傾向としていえるのではないでしょうか。

また、女性は男性よりも平均的に長生きするため、夫婦の場合もいずれ女性は単身となります。

厚生年金を受給していた夫が亡くなれば、妻は遺族厚生年金が受け取れるので、平均的な受給額であれば、残された妻が住民税非課税世帯になることはありません。

裏を返せば、平均よりも少ない受給額だったり、夫が自営業者だったりすると、住民税非課税世帯に該当する可能性が高くなります。

年金の平均受給額からみてわかるとおり、現役時代に比べて収入は大きく減ります。

特に女性は、年金額が少ない傾向があるため、住民税非課税世帯に該当するケースが多いでしょう。

年金受給者に住民税非課税世帯が多くなるのは、年金の給付水準からある意味当然のことといえるでしょう。

5. 住民税非課税世帯の優遇措置

住民税非課税世帯に該当すると、どのような優遇措置があるのでしょうか。順にみていきましょう。

5.1 国民健康保険料・後期高齢者医療保険料が安くなる

保険料は住んでいる地域によって異なります。住民税非課税世帯は、均等割が7割、あるいは5割に軽減されるなど、多くの自治体で減免措置を設けています。

5.2 介護保険料が安くなる

介護保険料は、自治体ごとに異なる基準額をもとに、一人ひとりの収入に応じて段階的に保険料が設定されます。

住民税非課税世帯は基準額よりも低く設定されます。

5.3 介護保険施設の費用が安くなる

住民税非課税世帯に該当すると、介護保険施設やショートステイを利用する人の食費や居住費が軽減されます。

ただし、軽減を受けるには、年金収入だけでなく、預貯金額の基準も満たす必要があります。

たとえば、住民税非課税世帯で年金収入が120万円超の場合は、持っている預貯金などが単身で 500万円、夫婦で 1500万円以下でないと軽減を受けることができません。