2. 70歳以上のシニアが受け取れる年金額が重要に
前章では、70歳代以降の「平均貯蓄額」について見ていきましたが、「老後までに平均程度の資金を貯められるか不安」と感じた方もいるのではないでしょうか。
老後に必要な貯蓄額は、その人のライフスタイルや年金受給額によって異なるため、一概に全ての人が70歳代以降の平均貯蓄額「2500万円」を目指す必要はありません。
たとえば、毎月の支出が15万円、年金収入が25万円の夫婦世帯の場合は、年金だけで生活費がまかなえており、10万円の余裕があることから、老後資金はそこまで多くなくても生活できるとうかがえます。
反対に、毎月の支出が25万円、年金収入が10万円の夫婦世帯の場合は、毎月15万円の赤字が発生するため、赤字分を補填できるだけの資金が必要になるでしょう。
このように、老後にいくら資金が必要になるかは「年金受給額」が大きく関与するため、どのくらい将来年金を受け取るのか事前に確認しておくことが大切です。
次章では、70〜90歳以上のリアルな年金額を国民年金・厚生年金それぞれ分けて紹介していきます。
3. 【国民年金】70〜90歳以上の平均年金額
まずは、70歳〜90歳以上の国民年金の平均月額を見ていきましょう。
国民年金は、原則20〜60歳未満の人が加入対象であり、保険料を一定期間納めていれば、全ての人が年金受給できます。
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、70歳代以降の国民年金の平均月額は下記のとおりです。
3.1 70歳代の国民年金の平均月額
- 70歳:5万7320円
- 71歳:5万7294円
- 72歳:5万7092円
- 73歳:5万6945円
- 74歳:5万6852円
- 75歳:5万6659円
- 76歳:5万6453円
- 77歳:5万6017円
- 78歳:5万5981円
- 79歳:5万5652円
3.2 80歳代の国民年金の平均月額
- 80歳:5万5413円
- 81歳:5万5283円
- 82歳:5万7003円
- 83歳:5万6779円
- 84歳:5万6605円
- 85歳:5万6609円
- 86歳:5万6179円
- 87歳:5万6030円
- 88歳:5万5763円
- 89歳:5万5312円
3.3 90歳以上の国民年金の平均月額
- 90歳以上:5万1974円
70歳代以降の国民年金の平均月額は約5万5000円ほどとなっています。
年代別にみると70歳代の平均額が最も高く、80歳代、90歳代と年代が上がるにつれて、わずかに平均額が低くなっています。
これは、近年の年金制度の改正だけでなく、加入期間や納付額の差などが影響していることが考えられます。
国民年金の受給額は、年金制度の改正や社会経済状況などによって変化していく可能性があるため、国民年金のみ受給の場合は、老後の生活設計を行う際に年金額の変化も考慮しておくことが大切になるでしょう。