2. 【2024年度】在職老齢年金の支給停止調整額は「50万円」に引き上げ
厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」を確認したところ、2024年度の支給停止調整額は「50万円」でした。
2023年度は48万円だったため、比較すると2024年度から2万円増額されることになります。
在職老齢年金による年金額の調整について、シミュレーションをしてみましょう。
2.1 【在職老齢年金】支給停止調整額のシミュレーション
ケース別に、在職老齢年金による調整があるのかシミュレーションしてみました。
在職老齢年金のシミュレーション①
- 年金の基本月額:8万円
- 総報酬月額相当額:22万円
ケース1の場合、基本月額と総報酬月額相当額の合計額は30万円。
2024年度の支給停止調整額となる50万円を下回るため、年金は「満額支給」となります。
在職老齢年金のシミュレーション②
- 年金の基本月額:12万円
- 総報酬月額相当額:37万円
ケース2の場合、基本月額と総報酬月額相当額の合計は「49万円」です。
2023年度の場合、支給停止調整額が48万円を超えるため「調整対象」となります。具体的にどれだけ年金がカットされるかを計算してみましょう。
「基本月額12万円-(基本月額12万円+総報酬月額相当額37万円-支給停止調整額48万円)÷2=11万5000円」
この計算式に当てはめると、年金支給額は「12万円」から「11万5000円」に調整され、5000円がカットされることになります。
しかし、2024年度からの支給停止調整額は50万円です。2024年度内であれば、年金は「満額支給」となります。
年金は、支給月の前々月と前月の2ヶ月分として支給されます。つまり、2024年度最初の年金支給日である4月15日に支給されるのは2023年度の2月分と3月分です。したがって、2023年度のルールが適用される点にご注意ください。
2024年度の支給停止調整額50万円が適用されるのは「2024年6月14日」支給分からとなります。
在職老齢年金の制度は複雑なので、今のうちから内容を把握しておくことで自分が当事者になった際に理解しやすいのではないでしょうか。
この制度が対象となるかどうかは働き方によるように、得かどうかは自身が受給できる年金受給月額によるといえます。
では現役時代の働き方で金額差の生じる「厚生年金」の受給状況はどのようなものでしょうか。