2. 在職老齢年金の改正案
在職老齢年金は、年金を受給しながら仕事をする人の老齢厚生年金の一部、または全部を支給停止する制度です。
制度内容と改正案について解説します。
2.1 在職老齢年金とは
在職老齢年金とは、基本月額(老齢厚生年金の報酬比例部分の月額)と総報酬月額相当額(給与収入の約1/12の金額)が50万円(2024年度、毎年更改)を超えると老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となる制度です。
支給停止となるのは50万円を超える金額の1/2です。
給与収入が多い人の中には、支給停止されない範囲まで収入を抑えて働く人もいます。
2.2 在職老齢年金は廃止?
2021年4月、政府は高年齢者雇用安定法を改正し、企業に対し「70歳までの就業機会確保」を義務付け(努力義務)ました。
少子高齢化が進む中、働き手を確保するために希望すれば高年齢者が働ける環境を整えることが目的の1つです。
一方、在職老齢年金制度は高齢者の就業を抑制する効果を持つため、在職老齢年金制度を廃止すべきという意見が出ています。
ただし、制度を廃止すると年金給付が増えるため、支給停止となる基準を50万円から引き上げるなどの制度緩和策も改正案の1つとして検討されています。