4. 【非正規雇用で働く女性】未婚者と既婚者、余裕があるのは?
日本労働組合総連合会は「非正規雇用で働く女性に関する調査2022」の結果を公表しています。
調査対象は、非正規で働く女性1000名(雇用形態:パートタイマー60.0%、アルバイト17.4%、派遣社員11.5%、有期契約社員8.9% )でした。
同調査から、非正規雇用で働く女性の経済的ゆとりについて見ていきましょう。
一概には言えないものの、未婚者は自身の収入で生計を立てている、既婚者は配偶者の収入と自身の収入で生計を立てている傾向にあると考えられます。
【図表5】では配偶者も子もいる人のうち「ゆとりがある」「ある程度ゆとりがある」と回答した人は29.7%、「あまりゆとりがない」「まったくゆとりがない」と回答した人は66.5%でした。
一方、配偶者も子もいない人のうち「ゆとりがある」「ある程度ゆとりがある」と回答した人は22.7%、「あまりゆとりがない」「まったくゆとりがない」と回答した人は66.8%。
配偶者と子どもがいる世帯のなかには、パートナーの収入が生活基盤となっているケースも多いことでしょう。生活自体は安定しやすい傾向にあります。
一方、単身者の場合、非正規雇用で働いた収入のみに頼ると生活基盤は不安定になります。
給与のすべてを自分のために使えるといっても、生活費で底をついてしまっては余裕のある暮らしとはいえません。
未婚女性が非正規雇用で働き、不安定な状況に置かれることについて、自己責任とする見方もあります。
しかし、正規雇用で働けない事情はそれぞれありますし、正規雇用を望んだところで難しいケースもあります。
5. 「多様性が認められる社会」の実現には多角度からのサポート必須
結婚して子どもを授かれるかは安定した収入の有無ですべて決まるわけではありません。
非課税世帯を対象にした支援などもあるため、諸事情などにより収入が少なくても子育てはできます。
しかし、近年における「結婚・出産はお金のある人ができる」という見方はあながち間違いではないでしょう。
最近は、既婚者や子どもがいる世帯を対象にした政策については毎日のように話題に挙がる一方、単身者へのサポートや支援が話し合われる様子はあまり見受けられないといえます。
単身者も経済的に楽ではありません。むしろ単身者の方が経済的に安定していない傾向にあるなか、自分たちのわずかな手取りの中から子育て世帯のサポートというのは快いものではないでしょう。
国や市町村、あるいは企業において単身者を対象にした支援を設けることを検討する必要があります。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」
- 厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」
- こども家庭庁「こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度における給付と拠出の試算について」
- 日本労働組合総連合会「非正規雇用で働く女性に関する調査2022 」
- BIGLOBE「「将来、子どもがほしくない」Z世代の約5割「子育てに関するZ世代の意識調査」を実施」
- NHK「燕は戻ってこない」
西田 梨紗