厚生労働省は2024年5月14日、第9期介護保険事業計画期間(2024年度~2026年度)における介護保険の第1号保険料を公表しました。
全国の基準額(月額・全国加重平均)は6225円で、前回の6014円に比べ211円のアップとなっています。
第1号とは65歳以上が該当するもので、基本的に年金から天引きする形で支払います。
年金の手取り額にも影響するとあり、高齢者の負担に注目する方もいるでしょう。くわしく見ていきましょう。
1. 2024年度の介護保険料が公表
65歳以上の高齢者が支払う介護保険料は、2024年度~2026年度の全国基準で6225円となりました。
第8期(2021年度~2023年度)が6014円だったので、伸び率は3.5%です。
ただし、これはあくまでも全国の基準値であり、実際の保険料は自治体や所得によって異なります。
自治体による違いに着目すると、全1573の保険者のうち、保険料基準額の分布状況は以下の通りとなっています。
- 3001~3500円:1
- 3501~4000円:3
- 4001~4500円:13
- 4501~5000円:99
- 5001~5500円:221
- 5501~6000円:511
- 6001~6500円:403
- 6501~7000円:237
- 7001~7500円:64
- 7501~8000円:17
- 8001円~:4
最も多いのは5501~6000円のようです。
第8期から保険料基準額を引き上げた保険者は45.3%、逆に引き下げた保険者は17.5%、据え置いた保険者は37.2%でした。
次章にて、都道府県ごとの介護保険料もくわしく見ていきましょう。
2. 【都道府県別】介護保険料が高いところ・低いところ
介護保険の保険者は、全国の市町村および特別区(東京23区)です。それぞれが保険料を決定するため、居住地によって基準額が異なるということです。
参考までに、都道府県ごとの保険料を確認しましょう。
※()内は前回からの伸び率です
- 北海道:5738 (0.8%)
- 青森県:6715 (0.6%)
- 岩手県:6093 (1.0%)
- 宮城県:6098 (2.7%)
- 秋田県:6565 (1.2%)
- 山形県:6058 (-0.9%)
- 福島県:6340 (3.8%)
- 茨城県:5609 (2.3%)
- 栃木県:5773 (2.1%)
- 群馬県:6203 (1.1%)
- 埼玉県:5922 (8.0%)
- 千葉県 :5885 (9.3%)
- 東京都 :6320 (3.9%)
- 神奈川県:6340 (5.2%)
- 新潟県 :6412 (1.7%)
- 富山県 :6327 (0.4%)
- 石川県:6354 (0.1%)
- 福井県:6223 (-0.3%)
- 山梨県:5744 (-0.7%)
- 長野県:5647 (0.4%)
- 岐阜県:6094 (2.8%)
- 静岡県:5810 (2.3%)
- 愛知県:5957 (3.9%)
- 三重県 :6295 (2.0%)
- 滋賀県:5979 (-2.4%)
- 京都府:6608 (4.4%)
- 大阪府:7486 (9.7%)
- 兵庫県:6344 (5.7%)
- 奈良県 6034 (3.1%)
- 和歌山県:6539(0.0%)
- 鳥取県:6219 (-2.1%)
- 島根県:6432 (0.8%)
- 岡山県:6364 (1.5%)
- 広島県:6098 (1.9%)
- 山口県:5568 (2.2%)
- 徳島県:6515 (0.6%)
- 香川県:6219 (0.2%)
- 愛媛県:6438 (0.5%)
- 高知県:5809 (-0.1%)
- 福岡県:6295 (3.6%)
- 佐賀県:5983 (0.0%)
- 長崎県:6222 (-0.5%)
- 熊本県:6190 (-0.8%)
- 大分県:6235 (4.7%)
- 宮崎県:6038 (1.4%)
- 鹿児島県:6210 (-1.2%)
- 沖縄県:6955 (1.9%)
とはいえ、実際には市町村単位で異なります。厚生労働省によると、もっとも基準額が高いのは大阪府大阪市の9249円。ついで大阪府守口市の8970円、大阪府門真市の8749円と続きます。
反対に最も低いのは東京都小笠原村の3374円。ついで北海道音威子府村と群馬県草津町が3600円となっています。
また、実際の保険料は前年の所得に応じて決まります。所得が高いほど多くの保険料を負担するという構造なのです。
3. 介護保険料は基本的に年金から天引き。他に天引きされるお金は?
65歳以上の介護保険料は、基本的に年金から天引きされます。それまでの40歳~64歳の保険料は、健康保険料に含める形で納めていたのが、独立するという構造です。
介護保険料が年金から天引きされる対象となるのは、以下の方です。
65歳以上の方のうち、老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給している方であって、年間の受給額が18万円以上の方。
引用:日本年金機構「Q.年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
つまり、年金年額が18万円を超える方は、介護保険料が年金から天引き(特別徴収)されるということです。
多くの方があてはまるでしょう。
なお、年金から介護保険料が天引きされる方は、他のお金も天引きされる可能性があります。
3.1 国民健康保険料(税)
- 65歳以上75歳未満の方のうち、老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給している方で、年間の受給額が18万円以上の方
ただし後期高齢者医療制度の該当者は除きます。
また、国民健康保険料(税)と介護保険料の合計額が、各支払期に支払われる特別徴収対象年金額の2分の1を超える場合は天引き対象となりません。
3.2 後期高齢者医療保険料
- 75歳以上の方もしくは65歳以上75歳未満で後期高齢者医療制度に該当する方のうち、老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給している方であって、年間の受給額が18万円以上の方
ただし、後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計額が、各支払期に支払われる特別徴収対象年金額の2分の1を超える場合は天引き対象となりません。
3.3 住民税
- 65歳以上の方のうち、老齢もしくは退職を支給事由とする年金を受給している方であって、年間の受給額が18万円以上の方
ただし、所得によっては住民税そのものが非課税になることがあります。
なお、特別徴収が行われる年金には優先順位が定められています。もし複数の年金を受給している場合は、いずれか1つの年金から特別徴収が行われます。
老後の収入源である年金からも数々の天引きがあると思うと、老後生活を不安に感じる人が出てくるかもしれません。
最後に、公的年金の平均受給額について確認しましょう。
4. 老齢年金「厚生年金と国民年金」の平均受給額はいくらか
厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、実際に支給された老齢年金の平均受給額を見ていきます。
なお、こちらは額面となっているため、ここから天引きされるお金があることに留意が必要です。
4.1 国民年金(老齢基礎年金)の受給額
- 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
4.2 受給額ごとの人数(国民年金)
- 1万円未満:6万5660人
- 1万円以上~2万円未満:27万4330人
- 2万円以上~3万円未満:88万1065人
- 3万円以上~4万円未満:266万1520人
- 4万円以上~5万円未満:465万5774人
- 5万円以上~6万円未満:824万6178人
- 6万円以上~7万円未満:1484万7491人
- 7万円以上~:178万3609人
4.3 割合(国民年金)
- 4万円以上の割合:88.4%
- 5万円以上の割合:74.4%
- 6万円以上の割合:49.8%
- 7万円以上の割合:5.3%
4.4 厚生年金(老齢厚生年金)の受給額
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金の金額を含む
4.5 受給額ごとの人数(厚生年金)
- 1万円未満:6万1358人
- 1万円以上~2万円未満:1万5728人
- 2万円以上~3万円未満:5万4921人
- 3万円以上~4万円未満:9万5172人
- 4万円以上~5万円未満:10万2402人
- 5万円以上~6万円未満:15万2773人
- 6万円以上~7万円未満:41万1749人
- 7万円以上~8万円未満:68万7473人
- 8万円以上~9万円未満:92万8511人
- 9万円以上~10万円未満:112万3972人
- 10万円以上~11万円未満:112万7493人
- 11万円以上~12万円未満:103万4254人
- 12万円以上~13万円未満:94万5662人
- 13万円以上~14万円未満:92万5503人
- 14万円以上~15万円未満:95万3156人
- 15万円以上~16万円未満:99万4044人
- 16万円以上~17万円未満:104万730人
- 17万円以上~18万円未満:105万8410人
- 18万円以上~19万円未満:101万554人
- 19万円以上~20万円未満:90万9998人
- 20万円以上~21万円未満:75万9086人
- 21万円以上~22万円未満:56万9206人
- 22万円以上~23万円未満:38万3582人
- 23万円以上~24万円未満:25万3529人
- 24万円以上~25万円未満:16万6281人
- 25万円以上~26万円未満:10万2291人
- 26万円以上~27万円未満:5万9766人
- 27万円以上~28万円未満:3万3463人
- 28万円以上~29万円未満:1万5793人
- 29万円以上~30万円未満:7351人
- 30万円以上~:1万2490人
4.6 割合(厚生年金)
- 10万円未満の割合:22.7%
- 10万円以上の割合:77.3%
- 15万円以上の割合:46.1%
- 20万円以上の割合:14.8%
- 20万円未満の割合:85.2%
- 30万円以上の割合:0.1%
※厚生年金の金額には国民年金を含む
5. まとめにかえて
2024年度の介護保険料が公表されました。多くの自治体で引き上げとなっており、負担に思う高齢者も多いでしょう。
2024年度の年金も2.7%の引き上げにはなっていますが、物価上昇率を下回るため、実際には目減りという現状にあります。
介護保険料や後期高齢などの保険料も上昇傾向にあることで、年金の手取り額が目減りしてしまう可能性もあるのです。
今回は年金の平均額や割合等をご紹介しましたが、まずはそれぞれの見込額を知ることが重要です。
そのうえで、個人が老後対策としてできることを考えていきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」
- 厚生労働省「第9期計画期間における介護保険の第1号保険料について」
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「Q.年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
太田 彩子