2. 2024年度の加給年金額は2.7%増額

2024年1月19日、厚生労働省は2024年度の公的年金の増額改定を発表しました。

2024年度の国民年金・厚生年金の年金額は、前年度から2.7%の増額となります。

加給年金の支給額においても2.7%の増額となります。

2.1 加給年金の金額

2024年度 加給年金の金額

2024年度 加給年金の金額

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

  • 配偶者:23万4800円(+6100円 前年度22万8700円)
  • 1人目・2人目の子:各23万4800円(+6100円 前年度22万8700円)
  • 3人目以降の子:各7万8300円(+2100円 前年度7万6200円)

要件を満たす配偶者や子どもがいる世帯には、上記のとおり加給年金が支給されます。

2.2 配偶者加給年金の特別加算

また、老齢厚生年金を受けている方の生年月日に応じて、配偶者の加給年金額に特別加算額が支給されます。

特別加算額は下記のとおり3万4700円~17万3300円と異なります。

配偶者加給年金額の特別加算額(令和6年4月から)

配偶者加給年金額の特別加算額(令和6年4月から)

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

【受給権者の生年月日】特別加算額(加給年金額の合計額)

  • 【昭和9年4月2日から昭和15年4月1日】3万4700円(26万9500円)
  • 【昭和15年4月2日から昭和16年4月1日】6万9300円(30万4100円)
  • 【昭和16年4月2日から昭和17年4月1日】10万4000円(33万8800円)
  • 【昭和17年4月2日から昭和18年4月1日】13万8600円(37万3400円)
  • 【昭和18年4月2日以後】17万3300円(40万8100円)

例1)夫婦のみ世帯で受給権者の生年月日が昭和9年4月2日~昭和15年4月1日の場合

  • 加給年金額:23万4800円
  • 特別加算額:3万4700円
  • 配偶者が受給できる加給年金額合計:26万9500円

例2)夫婦のみ世帯で受給権者の生年月日が昭和18年4月2日以後の場合

  • 加給年金額:23万4800円
  • 特別加算額:17万3300円
  • 配偶者が受給できる加給年金額合計:40万8100円

例2に該当する場合、通常の年金額に約40万円もの年金が加算されます。

年の差が大きい夫婦世帯にとっては非常にありがたい制度といえるでしょう。

3. 配偶者が65歳になれば「振替加算」の対象に

加給年金は、対象となる配偶者が65歳になれば支給停止となります。

ただし、この配偶者が老齢基礎年金を受け取る場合には、老齢基礎年金の額に加算がつきます。

これを「振替加算」といいます。

振替加算の対象者は下記の要件を満たす必要があります。

  • 厚生年金保険または共済組合等の老齢(退職)年金、または障害年金(1,2級)を受け取るようになったとき。
  • 退職改定または在職定時改定によって、受け取っている老齢(退職)年金の計算の基礎となる厚生年金保険と共済組合等の加入期間の合計が20年以上になったとき。

本人が65歳になった後に、配偶者が上記に該当する場合は「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」の
提出が必要となりますのでご注意ください。

4. 公的年金の仕組みを理解して、老後対策を進めていこう

本記事では、年の差夫婦やお子さまを遅くに授かった世帯が知っておきたい加給年金制度について確認してきました。

厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2022年度末現在の年金支給額の平均は、厚生年金が月額14万3973円、国民年金が月額5万6316円です。

公的年金だけで老後生活をやりくりすることは決して容易ではない中、加給年金制度は大変貴重な制度といえるでしょう。

年金制度について受動的に学ぶ機会はそう多くありませんが、老後対策を進めるためには最低限の仕組みはおさえておきたいですね。

毎年の誕生月には「ねんきん定期便」が送られてきます。

まずは、ご自身のこれまでの年金加入状況や現時点における見込年金受給額をチェックして、老後の家計収支をシミュレーションしてみることから始めてみると良いでしょう。

参考資料

立野 力