「公務員として勤めることができれば将来安泰だね」このように言われていた時代もありました。2024年4月25日にリスクモンスター株式会社が発表した第12回「お子さん/お孫さんに勤めてほしい企業」の調査結果においては、「お子さん/お孫さんに勤めてほしい企業」の1位が国家公務員となりました。
祖父母世代、両親世代にとって公務員は根強い人気があるといえるでしょう。
筆者は金融の仕事を始めて約8年が経過しましたが、8年前は公務員の方が老後や退職金について相談に来られることはほとんどありませんでした。
現に国が推進しているiDeCoも会社員と公務員とでは拠出できる金額に差額があり、公務員の方がiDeCoに掛けられる金額は少なくなります。これもひとえに公務員は退職金がサラリーマンよりも多くもらえるのが原因といわれております。
しかし、最近では毎日のように公務員の方が「老後に備えて運用がしたい」と相談にいらっしゃいます。昨今の円安や物価の高騰から、将来に不安を感じる方が多いようです。
そこで今回は、公務員の方の退職金の金額がどのくらいなのか、またサラリーマンの方と比較して多いか、少ないかというのも確認してみましょう。
1. 国家公務員は日本に何人?地方公務員と比較
「公務員」とは国や自治体に勤務し、営利を目的とせず社会作りを仕事としている人を指し、「国家公務員」と「地方公務員」に区分されています。
国家公務員と地方公務員の人数や割合は以下のとおりです。
【国家公務員と地方公務員の職種と職員数】
- 国家公務員:59万3500人(17.5%):自衛官、裁判官、検察官、国会議員、大使など
- 地方公務員:280万6000人(82.5%):教員、役場職員、警察官、消防官、自治体議員など
身近に感じるのは、地方公務員ではないでしょうか。地方公務員には教員、役場職員、警察官、消防官、自治体議員などが該当します。
地方公務員の場合は、勤務する都道府県や市町村によって給与水準や退職金が異なるため、今回の記事では国家公務員の退職金を紹介していきます。
2. 国家公務員の定年退職金は多い?平均はいくらなのか
内閣官房の退職金に関する調査によると、退職理由が「定年」の国家公務員の退職金は下記のとおりです。
2.1 常勤職員
- 平均支給額:2112万2000円
2.2 うち、行政職俸給表(一)適用者
- 平均支給額:2111万4000円
常勤職員、行政職俸給表(一)適用者ともに、平均支給額が2000万円以上であることから、国家公務員の退職時の退職金は2000万円を超える可能性が高いといえます。
ただし、勤続年数によって退職金の平均額は異なります。次に勤続年数ごとの定年退職金の実態を見ていきましょう。