2024年1月19日、厚生労働省は2024年度の年金額増額改定を発表しました。
前年度から2.7%の増額となり、67歳以下新規裁定者の場合、国民年金の満額は月額6万8000円、厚生年金はモデル夫婦世帯2人分で月額23万483円です。
上記は額面であり、税金や社会保険料が天引きされると手取り額は少なくなります。
天引きと聞いて驚いた方は少なくないかもしれません。
老後の大切な収入源となる年金からも、現役時代のお給料と同じように「天引きされるお金」があります。
本記事では、いまのシニア世代の年金事情や、年金から天引きされるお金について詳しく見ていきたいと思います。
1. 公的年金制度「厚生年金と国民年金」は2階建て
最初に公的年金制度「厚生年金と国民年金」について、仕組みをおさらいしておきましょう。
下図のとおり、日本の公的年金制度は国民年金と厚生年金で構成されています。
日本に住む20歳以上60歳未満の全ての人は原則として国民年金に加入し、要件を満たす会社員や公務員などは国民年金に上乗せする形で厚生年金に加入します。
こうした仕組みより、公的年金制度は「2階建て」といわれています。
1.1 国民年金(老齢基礎年金)
日本に住む20歳以上60歳未満の人は、原則として国民年金(老齢基礎年金)に加入します。
保険料は一律ですが、下記のように年度ごとに改定されます。
- 2022年度:月額1万6590円
- 2023年度:月額1万6520円
- 2024年度:月額1万6980円
40年間(480ヶ月)全ての保険料を納めると満額の年金を受け取ることができます。
ただし、未納や免除された期間があると満額からその分が減額されます。
1.2 厚生年金(老齢厚生年金)
公務員や会社員などは、国民年金に上乗せする形で厚生年金にも加入します。
国民年金の保険料は厚生年金制度によって負担されるため個別に納める必要はありません。
厚生年金の保険料は給与や賞与などの報酬によって決定し、企業と折半して負担します。
老後に受給する年金は「老齢基礎年金+老齢厚生年金」となり、老齢厚生年金は年金加入期間や納付済保険料によって決定します。
では、老後生活を支える柱となる公的年金は、どれくらいもらえるのでしょうか。
次章で詳しく見ていきましょう。