2. 【奨学金返済免除】かつてあった「教員の奨学金返済免除制度」
そもそも、学校での勤務はブラック職場の代名詞というイメージも根強くあります。
教育公務員は「給特法」により残業代が出る業務内容がはっきり決まっています。「給特法」とは、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」のことで、日本における公立学校の教育職員の給与や労働条件を定めた法律です。
テストの丸つけや授業や欠席した児童生徒への連絡や、問題が起きた時の話し合いなどで夜まで残り仕事に追われても、残業代が発生することはありません。
また、中学校での部活動指導を筆頭に長時間労働が問題視され続けています。モンスターペアレンツ問題もあり、こうしたブラックな面を見ると「やりたい!」という気持ちがしぼんでしまうのも仕方がないことに思えます。
こうした職場環境は昭和の頃や平成初期に比べると改善しつつあります。それでも昔は志望者の減少傾向が見られなかったのは「教員に採用された大学学部卒業者、大学院修了者を対象にした奨学金返済免除制度」の存在が大きかったと考えられます。
戦後の日本の公教育構築の時代である1950年代に正規雇用された教員が一定期間職務についたら奨学金が免除される制度がスタートしました。しかし、1998年4月大学学部入学者から廃止されています。
制度が廃止されたことにより、奨学金を借りながら大学に通い、教員に採用されても返還義務を負うことになります。ただでさえ無利子でも負担は大きいのに、利子付き貸与の場合は就職してからの支払い額は借りた分よりも増えます。
免除制度が廃止され、教員以外の職を選択する学生が増えるのも自然なことです。