3. 【奨学金返済免除】ただし、奨学金返済免除の恩恵を受けるのは全体で1割未満
全国的に問題となっている教師不足を一気に解決することは至難の業です。
自治体レベルだけでなく国の強力な後押しや「学校の先生を目指す学生」を増やす現実的な対策を整えることが必要となる中、文部科学省はかつて行われていた「教職に就く人の奨学金返済免除」を2024年度採用者から適用する方針を固めました。
しかし、対象となるのは「教職大学院を修了して国公私立の学校に正規教員に採用された人」と「教職大学院以外の大学院を修了し公立校に採用された人」のみです。
ちなみに教職大学院が設置されている大学は国立大学47校、私立大学では7校のみとなっています。
2023年度採用者の採用試験「公立学校教員採用選考試験」の採用者は3万5891人です。
そのうち大学院卒は全体の7.2%にあたる2585人、一方で大学の学部卒の採用者は84.5%を占め、その数は3万2571人にのぼることが文部科学省の「令和5年度(令和4年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況」から分かっています。
この結果からみても、教職大学院出身者や他の大学院を修了した公立学校の正規採用者に限定した場合、奨学金返済免除の恩恵を受けるのは全体で1割未満と、かなり限られることになります。
4. 【奨学金返済免除】奨学金返済免除制度があっても、すぐに教員不足解消となるとは考えにくい
子どもの人生にも影響を与える学校生活。その中で様々な先生と出会い、成長していきます。
親としては教員不足により現役で学校で働いている先生への負担が増し、さらに志願者が減ることや教育の質の低下につながるのではと弊害を考えてしまいます。
教員採用者の大半が学部卒業生ということを考えると、復活となる奨学金返済免除制度も、すぐに志願者増加、教員不足解消に至るとは思えません。
教員の働き方、現実的な対策を早急に行うことが望ましいでしょう。
参考資料
中山 まち子