生活保護制度は、資産や能力等すべてを活用しても、なお生活に困窮する方に対して、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助ける制度です。

生活保護受給者世帯は「生活・住宅・医療・教育・介護・出産・葬祭・生業」などさまざまな支援を受けることができます。

さまざまな支援のうち、生活保護世帯の子どもが大学などへ進学する際、新生活立ち上げの費用を支援するための「進学準備給付金」があります。

これについて、政府は2024年2月9日の閣議で、生活保護受給世帯の子どもに対して、進学だけでなく就職する場合も一時金を給付することを盛り込んだ生活困窮者自立支援法などの改正案を提出しました。

その後の閣議で決定されたため、2025(令和7)年4月から改正が予定されています。

今回の記事では、生活保護法の改正が対象となる時期、支給額などをご紹介します。

1. 生活保護法の「進学準備給付金」

生活保護法では、生活に困窮する世帯の子どもの支援を強化するため、2025(令和7)年4月から改正が予定されています。

まずは改正前(現行)の制度を確認しましょう。

1.1 現行制度の「進学準備給付金」の給付額は「10~30万円」

生活保護法の中には、進学準備給付金の支給について以下のように記載されています。

”第五十五条の五 都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長は、その管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する(居住地がないか、又は明らかでないときは当該所管区域内にある)被保護者(十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある者その他厚生労働省令で定める者に限る。)であつて教育訓練施設のうち教育訓練の内容その他の事情を勘案して厚生労働省令で定めるもの(次条において「特定教育訓練施設」という。)に確実に入学すると見込まれるものに対して、厚生労働省令で定めるところにより、進学準備給付金を支給する。”

生活保護受給世帯の子どもが高校を卒業した後、大学などに進学したり、就職して独立したりすると生活保護の対象から外れ、生活保護費は支給されません。

このことを「世帯分離」といいます。

世帯分離となり、大学・短大・専修学校など一定の要件を満たす「特定教育訓練施設」に進学したときは「進学準備給付金」が支払われることになっています。

進学準備給付金の支給額は、進学のため転居する場合が「30万円」、現在の自宅から通学する場合は「10万円」が支給されます。

法律にも明記される「進学準備給付金」

法律にも明記される「進学準備給付金」

出所:e-Gov法令検索「生活保護法」

なお、現行では進学せずに就職した場合、特に何も支払われてはいません。