2. 新たな制度での「進学・就職準備給付金」の給付額は改正前と同水準

厚生労働省では、生活保護受給世帯の子どもが就職した場合も同様の支援が必要という考えから、生活保護法の改正案を先の通常国会に提出し、その後の閣議で決定されました。

2024(令和6)年2月9日提出の「生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案」では、進学準備給付金の名称を「進学・就職準備給付金」に改めると記載されています。

進学準備給付金の名称を「進学・就職準備給付金」に改めると記載

進学準備給付金の名称を「進学・就職準備給付金」に改めると記載

出所:厚生労働省「生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案要綱」

これにより、生活保護受給世帯の子どもが高校を卒業した後、就職により新生活をはじめることになったときや新生活を立ち上げる際に、必要な費用がサポートされます。

就労の継続を後押しできるでしょう。

進学・就職準備給付金の支給額は、現行の大学進学者向けと同水準となります。

なお、改正時期は2025(令和7)年4月からですが、2024(令和6)年1月1日にさかのぼって適用されます。

そのため、2024年3月に高校を卒業して就職した人も対象になります。

改正事項には、生活保護を受けている世帯の子どもが、将来的に自立するため進路選びをするため、子どもだけではなく保護者に対してもの助言・相談を行う事業も新設されます。

3. まとめにかえて

もともと、生活保護受給世帯の子が、本人の希望で高校卒業後に就職した場合、新生活を立ち上げる費用を支援するしくみがありませんでした。

今回は、その不足を補う改正になります。

また、今後は、経済的支援だけにとどまらず、生活保護世帯の保護者、子どもに対して生活環境の改善などの情報提供が事業化されます。

より「自立」に向けた手厚い支援のしくみ強化された点に注目しましょう。

参考資料

舟本 美子