2. 60歳代が考える「将来的に望ましい定年年齢」とは?
独立行政法人 労働政策研究・研修機構「「60代の雇用・生活調査」結果 」は 60~69歳の5000人の男女を対象に雇用・生活に関する調査を実施しました。
本調査では「将来的に望ましい定年年齢の制度」についてもヒアリングしています。
図表によると、「希望すれば何歳まででも働ける仕組みが望ましい」がもっとも多くの回答を集めました。
また、将来的に望ましい定年年齢は「今のままでよい」よりも「60歳より上の定年年齢が望ましい」と回答した人の方が全属性において多いという結果に。
60歳で仕事を一区切りするのではなく、それ以上の年齢になっても働くことに意欲的な人が多いとうかがえます。
3. 実際の70歳代は全世代でどのくらいの「労働力」を占めているの?
内閣府「令和5年版高齢社会白書(全体版)」を参照し、70歳代の「労働力人口比率」を確認していきましょう。
【図表4】からは2012年頃から65~69歳の労働力人口比率が大きく上昇していることが読み取れます。
70歳代については、70~74歳の比率が2017年頃から急速に高まり、2018年には30%を超えます。
一方、75歳以上の比率は2016年頃からゆるやかに上昇しており、2019年には10%を超え、2022年には11%になっています。
働き手の不足が深刻化している昨今、70歳代以上の人も社会を支える重要な立場にあると考えられます。
仮に、70歳代で働く人がいなくなったとすれば、社会において大きな混乱が生じる部分もあるでしょう。
4. まとめにかえて
少し前であれば、70歳代について現役時代にできなかった趣味を楽しんだり、自宅でゆったりと暮らしたりしているイメージがありました。
しかし現在においては、多くの70歳代が働いており、今後は働く70歳代がさらに増えると見込まれます。
年金制度が廃止されたり、年金支給開始年齢が突然上がったりすることは考えにくいでしょう。とはいえ、高齢者の負担の増大は何かと増えているため、支給される年金のうち手元に残るお金は少なくなると憶測できます。
老後のために貯蓄をしようにも、現在の生活費で給与が底を尽きてしまう人も多く、定年退職後の暮らしを想像できない人も少なくないのが現状です。
70歳代まで働くことを想定して健康に気をつけたりスキルアップしたりなど個人での対策を進めながら、高齢者に思いやりのある社会が実現してもらいたいものですね。
参考資料
- 厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」
- 労働政策研究・研修機構「「60代の雇用・生活調査」結果 」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 内閣府「令和5年版高齢社会白書(全体版)」
西田 梨紗