3. 年金生活者支援給付金の支給金額は「3.2%」の増額改定
一方、2024年度の年金生活者支援給付金は3.2%の増額改定となります。
- 老齢年金生活者支援給付金:5,310円
- 障害年金生活者支援給付金:1級 6,638円、2級 5,310円
- 遺族年金生活者支援給付金:5,310円
年金生活者支援給付金とは、公的年金やその他の所得の合計額が一定水準以下となる方に、生活の支援を図るために年金に上乗せして支給する年金です。
ただし、老齢年金生活者支援給付金は基準額となるため、実際の支給額は個人によって異なります。
保険料納付済期間や保険料免除期間等に連動するため、増額率が3.2%にならないこともあるので注意しましょう。
4. 国民年金・厚生年金受給額の個人差に注目
2024年度の国民年金や厚生年金、年金生活者支援給付金の増額率について見ていきました。
今回紹介した金額は、あくまでも「満額受給できる場合」や「基準額」などのため、全員にあてはまるわけではありません。
そこで最後に、実際に支給されている年金の平均額を見ていきましょう。
2023年12月公表された厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から確認します。
4.1 国民年金(老齢基礎年金)の受給額
〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
平均は男女ともに5万円台ですが、ボリュームゾーンは6万円~7万円未満です。個人差はそこまで大きくありません。
4.2 厚生年金(老齢厚生年金)の受給額
〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金の金額を含む
平均額は14万円台ですが、受給額ごとの人数を見ると、ボリュームゾーンは「9万円以上~11万円未満」「17万円以上~18万円未満」にわかれることがわかっています。
厚生年金は現役当時の賃金や加入期間で受給額が決まるため、個人差が非常に大きくなるのでしょう。
やはり公表された年金額だけでなく、ねんきんネットやねんきん定期便などで個々に年金額を確認したほうが良さそうです。
5. 老後対策は情報収集から
2024年度(令和6年度)の年金額が厚生労働省より発表されました。物価上昇に追いつけず、「実質は目減り」というのが現状です。
今後もこの傾向は続く可能性があり、年金だけで生活するのは難しいかもしれません。
老後に不安を抱える方は多いですが、ではどんな対策をすればいいのかを考えるのは、実は簡単ではありません。
やみくもに貯蓄をしても足りない可能性がありますし、逆に貯めすぎると今の生活を犠牲にすることになります。
まず大切になるのでは、現状の把握です。年金や労働の収入がどれほど見込めるのか、客観的に情報収集しましょう。
その上で、不足する金額の準備が必要になります。とはいっても、預貯金だけで準備をするのではなく
- 公的年金額を増やす
- 働く期間を延ばす
- 生活費を抑える
- 資産運用をして資産が目減りするスピードを緩やかにする
- 保険で備える
など、自分に合った方法をバランスよく組み合わせることが重要です。
メリットやデメリットをしっかり情報収集し、早いうちからコツコツと準備を始めていきましょう。
参考資料
太田 彩子