なにかと家計を圧迫する現代、政府の支援策として「住民税非課税世帯に対する臨時特別給付金」が注目を集めています。
そんな「住民税非課税世帯」の対象は高齢者の割合が多くなっていると言われますが、受給条件には注意点があります。
今回はいまのシニア世代、65歳以上「住民税非課税世帯」の割合を確認するとともに、彼らの貯蓄額も確認してみましょう。
1. 「住民税非課税世帯」の対象者
「住民税非課税世帯」とは、文字通り「住民税が課税されていない世帯」を指します。
住民税は「所得割」と「均等割」から成り、生計を一にする家族全員が所得割と均等割の両方が課税されない場合に「住民税非課税世帯」に該当します。
なお、住民税は前年の所得に対して課税されるため、現時点で一定の所得があっても前年の所得が低ければ住民税非課税世帯に該当するケースも。
このように、所得が低く生活の困窮が懸念される住民税非課税世帯に対し、政府はコロナ禍や昨今の物価高騰に対する支援策として「現金給付」を行ってきました。
現在は、住民税非課税世帯に対し「現金給付」が進められています。
では、住民税が非課税になる世帯とはどういう世帯なのか。次章で住民税非課税世帯の要件を確認していきましょう。
2. 「住民税非課税世帯」の要件
下記の要件を満たした世帯が「住民税非課税世帯」に該当します。
- 生活保護法の規定による生活扶助を受けている方
- 障がい者、未成年者、寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合、年収204万3999円以下)である方
- 前年の合計所得金額が、自治体ごとの基準より少ない方
上記、3については自治体ごとに定められた基準がありますので、お住まいの自治体ホームページ等でご確認ください。
ご参考までに、東京23区内の場合の所得目安をご紹介しておきます。
- 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
- 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下
3. 65歳以上世帯の35%が「住民税非課税世帯」に該当
さまざまな事情があり所得が一定額以下になる場合に住民税非課税世帯に該当することが分かりました。
では、住民税非課税世帯はどれくらいあるのでしょうか。
厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」によると、年代別の住民税非課税世帯の割合(全世帯に占める住民税非課税世帯の割合)は以下の通りとなりました。
- 60歳代:19.2%
- 70歳代:34.9%
- 80歳代:44.7%
- 65歳以上:35.0%
- 75歳以上:42.5%
年代が上がるごとに住民税非課税世帯の割合が増えていきますね。
公的年金の受給開始は原則65歳からとなりますが、65歳以上については35.0%が住民税非課税世帯に該当するようです。
年金収入が十分でない様子がうかがえます。
しかし、住民税非課税世帯だからといって必ずしも生活が苦しいとは限りません。
住民税非課税世帯の条件には「金融資産保有額」が含まれませんので、収入が少なくても貯蓄があれば取り崩して生活費にあてることが可能です。
次章で65歳以上シニア世帯の貯蓄事情を覗いてみましょう。
4. 65歳以上世帯の平均貯蓄額と中央値
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、65歳以上世帯の平均貯蓄額と中央値は以下の通りでした。
- 平均貯蓄額:2414万円
- 中央値:1677万円
内訳を見ると、貯蓄額が2000万円を超える世帯が全体の42.5%を占めています。
貯蓄額1000万円に満たないシニア世帯は約36%、100万円未満の世帯は7.8%です。
住民税非課税世帯に該当し、かつ貯蓄が少ない世帯もあると考えられますが、反対に住民税非課税世帯でも現役時代に備えてきた貯蓄で不安のない老後生活を過ごす世帯もあるでしょう。
5. まとめにかえて
住民税非課税世帯の適用可否は、基本的には前年の所得をもとに判断されます。
現時点での所得が少ない場合であっても、必ずしも住民税非課税世帯の適用を受けられるとは限らないことも理解しておきましょう。
現在、物価上昇等に対する支援策として住民税非課税世帯には現金7万円給付(18歳未満の子どもがいる世帯には追加で5万円/子ども一人あたり)が行われており、すでに申請を締め切った自治体もあります。
また、住民税のうち所得割のみ非課税となる低所得世帯には10万円給付(18歳未満の子どもがいる世帯には追加で5万円/子ども一人あたり)が進められています。
課税世帯については6月より一人あたり4万円の定額減税(年収2000万円超の世帯は対象外)が行われる予定です。
食品や生活必需品の値上がりはまだまだ続きそうです。
今後もさまざまな形で支援が行われるかもしれませんので、取りこぼしのないよう動向に注視しておきましょう。
参考資料
笹村 夏来
