3. 【年金の落とし穴:3】年金振込額が「10月」から変わる人もいる
住民税や介護保険、健康保険など、年金から天引きされる税金や保険料の中には、10月に本決定されるものがあります。
これらは6月に決定された前年度の所得をもとに、一年度分の金額を正式に決定される形が一般的です。
では、8月分までの年金はどのような仕組みで天引きされているのでしょうか。
所得が確定していない8月の徴収までは「仮徴収」として前年2月と同額を天引きされています。
つまり、4月・6月・8月に天引きした分は仮徴収、10月・12月・2月に天引きする分は本徴収ということ。
たとえば、株の売買や不動産の売却などで一時的に所得があがった場合などに、翌年の税金や保険料負担が高まるケースが見受けられます。
4月から当該年度の税金・保険料支払いが始まっていると思ってしまいがちですが、実際は異なる時期に計算・確定されるため注意が必要です。
※自治体によっては8月を本徴収の開始としているところもあります。スケジュールや実際の振込額については、個別にご確認ください。
その他、年の途中で65歳を迎えた方なども、天引き開始により振込額が変わるケースがあります。
4. 【最新】厚生年金・国民年金の受給額はいくら?
国民年金と厚生年金は保険料に違いがあることや2階建て構造になっていることから、どちらに加入しているかによって老後に受け取れる年金額が大きく変わります。
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金と厚生年金それぞれの平均受給額は、下記のとおりです。
【国民年金】
- 男女全体平均月額:5万6316円
- 男性平均月額:5万8798円
- 女性平均月額:5万4426円
【厚生年金(国民年金を含む)】
- 男女全体平均月額:14万3973円
- 男性平均月額:16万3875円
- 女性平均月額:10万4878円
5. 制度や天引きの「落とし穴」に注意しておこう
今回は年金の「落とし穴」について確認してきました。
天引きされるお金は少なくなく、年金からの天引きにより年金受給額は「額面」の金額から減ってしまうのが現状です。
国民年金の平均月額は「5万6316円」、厚生年金の平均月額は「14万3973円」となっていますが、これは額面の金額であり実際にはさらに受け取れる金額が少なくなります。
平均額と天引き事情から「思っていたよりも受け取れる年金額が少ない」と感じた場合は、年金だけに頼らない老後対策をしておきましょう。
近年では、新NISAやiDeCoといった、国が主導となる資産運用の制度もります。これらをうまく活用しながら、老後資産の形成をしていくのも検討してみてください。
老後に年金を受給するタイミングになってから慌てることがないよう、早い段階から準備できると良いですね。
参考資料
- 厚生労働省「保険料(税)の特別徴収」
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」
- 厚生労働省「高齢期における年金制度」2023年10月24日
- 豊中市「公的年金からの特別徴収額が10月から急に高くなったのはなぜですか」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
山本 大樹