2. 4月から拡大する給与型奨学金

日本での奨学金は貸与型がメインで、欧米のような全額免除や一部免除といった給与型はごく限られた優秀な生徒のみが対象となる印象があり、日本では浸透しているとは言い難い状況でした。

2017年度から、独立行政法人日本学生支援機構の奨学金制度に給与型が新たに設けられたものの、対象となるのが「世帯年収380万円未満の世帯」(※両親、本人、中学生以下のきょうだいの4人世帯のモデルケース)とかなり限定されていました。

文部科学省では、しっかりとした進路への意識や進学意欲があれば、家庭の経済状況に関わらず、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校に進学できるチャンスを確保できるよう、令和2年4月から高等教育の修学支援新制度を実施しています。

文部科学省資料

出所:文部科学省「高等教育の修学支援新制度」

しかし、政府の「異次元の少子化対策」の目玉の一つとして今年4月から所得制限が厳しかった給与型の新たな奨学金制度が始まります。

それまで対象世帯の条件が緩和され「世帯年収600万円程度」になりますが、注意点もあります。具体的に新たに対象として含まれるのは以下の世帯に限られます。

  • 年収600万円までで扶養する子どもが3人以上いる多子世帯
  • 年収600万円までで私立の理工農系の学生の世帯

世帯年収の条件が緩和されても、多子世帯ではない文系学部の生徒は条件を満たさないため利用することができないので注意が必要です。

また、支援額も住民税非課税世帯では最大70万円の年間授業料が免除、給付型奨学金年間約91万円、270万円から300万円世帯(モデルケース)は3分の2免除、300万円から380万円世帯(モデルケース)が3分の1免除、そして新たに加わる対象世帯のうち多子世帯は4分の1、私⽴学校の理⼯農系の学生世帯は「⽂系との授業料差額に着⽬した⽀援」がそれぞれ免除となり、自宅外通学か自宅からの通学かによって額も変動します。

高等教育での支援新制度の対象機関は文部科学省のホームページで公表されているので、申請を検討する際は進学する大学または志望校が対象となっているか確認してください。