3. 民間団体での給与型奨学金
日本学生支援機構のような公的機関での奨学金のほかにも、企業や民間団体でも学習意欲が高い学生や優秀な学生が経済的な理由で大学での学びを断念しないよう給与型奨学金で支援の輪が広がってきています。
奨学金では成績や世帯年収などの制限がつきものですが、なかには成績や世帯年収を問わない奨学金制度もあります。
3.1 キーエンス財団の奨学金
工場向けのセンサーや測定機を主力製品とする株式会社キーエンスが2018年に設立した「キーエンス財団」では2024年2月1日から4月5日の午前10時までの期間、新大学一年生、新大学2年生から4年生対象の奨学金について、以下の通り応募を受け付けています。
新大学1年生対象(締め切り2024年午前4月5日10時まで)
新大学1年生を対象とした返済不要の給付型奨学金の応募を受け付けています。
対象学部、所得制限はなく600名募集しています。既定の必要書類を提出し、一次選考、二次選考を突破した学生が奨学金を受けられます。給付期間は4年で、毎月10万円が支給されるので学費の捻出に不安を感じる家庭にとって心強い奨学金です。ただし、他の給与型奨学金との併用は不可となっています。
新大学2年生から4年生対象(締め切り2024年4月17日午前10時まで)
同じくキーエンス財団では新大学2年生から4年生を対象とした30万円を一括支給する返済不要の奨学金「がんばれ!日本の大学生」の応募を4月17日午前10時まで受け付けています。大学、学部学科、入学年度、取得済みの単位数等をWEB登録し、800字以内のテーマに沿った文章をWEB上に登録。その他に学生証のコピー、在学証明書、成績証明書、住民票を提出し本選考となります。
なお、在学生向けの奨学金は他の奨学金との併用不可の縛りはありません。
※詳細および最新の情報については、キーエンス財団のHP「https://www.keyence-foundation.or.jp/」をご確認ください
4. 官民問わず多種多様な奨学金がある
経済的に不安を抱えて進路進学に悩み、進学を断念する人は今も昔もいます。しかし、親世代の頃の奨学金制度に比べると、公的なものや民間、企業問わずかなり充実してきています。
欧米諸国に比べると給与型奨学金の浸透が遅れていた日本でも、少しずつ変化が起きています。家庭の事情で優秀な学生が進学を断念することないよう官民の奨学金制度をくまなく調べ、給与型奨学金への応募を積極的に行うようにしたいですね。
参考資料
- 文部科学省 報道発表「令和5年 12 月 20 日 令和5年度学校基本統計(学校基本調査の結果)確定値を公表します」(PDF)
- 日本学生支援機構「令和 2年度学生生活調査結果」
- 文部科学省「高等教育の修学支援新制度」
- 文部科学省「経済的に困難な学生・生徒が活用可能な支援策」
- 東京海洋大学「安心してこどもを産み育てられるための奨学金制度の改正」(PDF)
- 文部科学省「支援の対象となる大学等の一覧」
- キーエンス財団
中山 まち子