3. 70歳代の手取り収入から貯蓄に回す割合「え、70歳になっても貯蓄?」

近年では働くシニアが増えており、総務省の「統計からみた我が国の高齢者」によると、高齢者の就業率は70〜74歳は33.5%で過去最高となりました。

貯蓄が十分でない世帯が一定数存在する70歳代ですが、「収入から貯蓄に回す平均割合」は、どのようになっているのでしょうか。

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」によると、70歳代の「手取り収入から貯蓄に回す割合」は下記の結果となりました。

70歳代の「手取り収入から貯蓄に回す割合」

70歳代の「手取り収入から貯蓄に回す割合」

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」の各調査をもとに筆者作成

3.1 夫婦世帯が収入から貯蓄に回す割合

  • 5%未満:4.8%
  • 5~10%未満:6.4%
  • 10~15%未満:13.5%
  • 15~20%未満:1.3%
  • 20~25%未満:5.0%
  • 25~30%未満:1.1%
  • 30~35%未満:2.4%
  • 35%以:4.8%
  • 貯蓄しなかった:60.7%

3.2 単身世帯が収入から貯蓄に回す割合

  • 5%未満:5.1%
  • 5~10%未満:11.4%
  • 10~15%未満:17.3%
  • 15~20%未満:2.7%
  • 20~25%未満:6.5%
  • 25~30%未満:1.1%
  • 30~35%未満:3.9%
  • 35%以:4.3%
  • 貯蓄しなかった:47.5%


夫婦世帯・単身世帯ともに、収入から貯蓄割合として最も多かったのは「10〜15%未満」となっており、収入の約1割程度は貯蓄に回しているようです。

しかし、夫婦世帯・単身世帯ともに半数の世帯で「貯蓄しなかった」と回答しており、年金や就労で得た収入のほとんどを生活費にあてていることがみてとれます。

とはいえ、70歳代は突然の病気やケガのリスクが現役時代よりも高いことや体力的な問題から、いつまでも働けるとは限らず、生活費以外に突然の支出が出てくる可能性もあります。

そのため、安泰な老後生活を送るためには、今のうちから少しでも老後の資金準備をしておくことが大切になるとうかがえます。

4. 半数以上が年金だけで生活できていない

本記事では、金融広報中央委員会の最新データをもとに、70歳代の貯蓄事情についてみていきました。

厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」では、100%年金だけで生活している人は全体の44%であり、半数以上は年金だけでは生活できず、就労や貯蓄を取り崩すなどして老後生活を送っている現状がうかがえます。

前述したように、70歳代では老後資金が十分な世帯がいる一方で、夫婦世帯・単身世帯ともに貯蓄ゼロの世帯も一定数存在します。

貯蓄がない場合は70歳代を迎えても就労する必要が出てくるため、「老後は悠々自適な生活を送りたい」と考えている人は、年金だけに頼らない老後資産の準備をしておけると良いでしょう。

まずは、ご自身が将来受け取れる年金額を「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」を利用して確認してみてはいかがでしょうか。

参考資料

太田 彩子