老後の生活と聞いて不安に感じる項目は人それぞれですが、多くの方はお金に関しての悩みをお持ちではないでしょうか。
年度末に一斉に定年退職を迎える企業もありますが、定年退職後の生活をどのように過ごすのか、悩む方は少なくありません。年金や退職金、貯金などなど現役世代のうちに考えておきたい問題はたくさんあります。
一時期話題となった「老後2000万円問題」。この数字だけ今も独り歩きして、「老後は2000万円あれば安心ですか?」と聞かれることがあります。
しかし、実際は人によって不足額が異なりますし、貯蓄状況や働く環境などによっても異なります。一概に2000万円が必要とは言い切れないため、「2000万円」にこだわることの危うさを感じます。
ただ、老後の生活の一つの目安にはなりますので、今回は60歳代で貯蓄2000万円をクリアしている世帯がどれくらいあるのか、平均的な年金の受給額について見ていきたいと思います。
そのうえで、個々の老後資金の考え方について見ていきましょう。
1. 60歳代「貯蓄額2000万円」を超える世帯は何パーセントいるもの?
まずは60歳代の貯蓄事情を覗いていきます。
2024年3月に公表された金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」の最新データによると、60歳代二人以上世帯の金融資産保有額は次のとおりです。
1.1 【60歳代】二人以上世帯の金融資産保有額の一覧
- 非保有:21.0%
- 100万円未満:5.9%
- 100万円~200万円未満:4.5%
- 200万円~300万円未満:4.3%
- 300万円~400万円未満:3.0%
- 400万円~500万円未満:1.9%
- 500万円~700万円未満:7.2%
- 700万円~1000万円未満:6.7%
- 1000万円~1500万円未満:6.8%
- 1500万円~2000万円未満:5.4%
- 2000万円~3000万円未満:9.5%
- 3000万円以上:20.5%
- 無回答:3.2%
かつて話題となった「老後2000万円問題」の2000万円をクリアする世帯はちょうど30%です。
ただし、「貯蓄ゼロ」という非保有世帯が21%いることにも注目しましょう。
貯蓄がある世帯・ない世帯で大きくわかれる結果となりました。
60歳代といえば、退職金を受け取った世帯とまだの世帯が含まれる世代です。これから退職金を受け取る見込みがある世帯は、安心かもしれません。
他にもこれまでコツコツ貯蓄ができた世帯、あるいは親からの相続を受けた世帯なども含まれ、こうした要因で貯蓄格差が生まれていると考えられます。
ただし、前述のとおり「貯蓄2000万円ある」というだけでは、老後が安心かどうかをはかることができません。
老後収入の柱となる年金額についても次章で確認してみましょう。