年金は、一般的には65歳に達すると自動的に受給できると誤解されがちですが、実際には受給するためには正確な手続きが必要です。
年金に関する知識を早いうちに得ておくことで、適切な準備を行い、将来の生活をより安定させることができます。
そこで、この記事では年金制度について詳しく解説していきます。59歳までに知っておきたい年金請求書について確認していきましょう。
1. 【公的年金制度】国民年金と厚生年金が基本
まず、日本の公的年金制度のしくみをおさらいしていきます。「国民年金」と「厚生年金」が公的年金制度の基本であり、2階建ての構造と呼ばれています。
1.1 国民年金はいくら?どんな仕組みか
国民年金は1階部分にあたりますが、20歳から60歳未満の、日本国内に住む全員が加入するのが原則です。年金保険料は定額(保険料額=基本額1万7000円×保険料改定率)です。
40年間すべて保険料を納付すれば、満額を受け取れます。
なお、納付期間が足りない場合、その分が満額から差し引かれる仕組みになっています。
1.2 厚生年金の受給額はどう決まる?
厚生年金は、2階部分にあたります。会社員や公務員などが国民年金に上乗せで加入します。
厚生年金は、「勤続年数はどれくらいか」「月々の報酬月額はいくらか」によって決まります。
2. 年金を65歳より前にもらう方法とは?注意点も解説
国民年金や厚生年金は、原則として65歳から受け取れます。
ただ、65歳前でも受け取る方法があります。
2.1 年金を65歳前にもらう「繰上げ受給」とそのリスク
「繰上げ受給」という制度を利用すると、60歳まで年金を前倒しで受給することができます。
しかし、1ヵ月繰上げるごとに、受給額は0.4%減額されます。1年で4.8%、5年で24%も年金額が減ります。
さらに、一度減額すると、元に戻すことはできません。繰上げ受給をするかどうかは、慎重に検討すべきでしょう。
2.2 特別支給の老齢厚生年金で年金を65歳前にもらう
60~64歳の方は、下記の条件を満たせば「特別支給の老齢厚生年金」を受給できます。
- 男性の場合、昭和36年4月1日以前に生まれたこと。
- 女性の場合、昭和41年4月1日以前に生まれたこと。
- 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること。
- 厚生年金保険等に1年以上加入していたこと。
- 生年月日に応じた受給開始年齢に達していること。
特別支給の老齢厚生年金には特例が存在し、生年月日によって受給開始の年齢も異なります。
制度が複雑なので、日本年金機構のホームページや年金事務所等の窓口で詳しい内容を確認するといいでしょう。