これはダメ!絶対。在宅介護の限界点が見えた瞬間

電子レンジでも火事は起こり得る

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認知症がどんどん進行していった場合、遅かれ早かれ「在宅介護の限界点」は訪れます。トイレ介助やお金の管理、大量の洗濯物の山との格闘などは、体力と気力と愛情があれば乗り切れるかもしれません。

でも、「これが起こったら絶対に在宅介護を続けるべきではない」ことを一つだけ挙げるとしたら、筆者は迷いもなく「火事に繋がるトラブル」と言えます。

ガスコンロをやめてIHコンロを使っていたとしても、誤った使用方法により発火する恐れがあります。電子レンジでも注意が必要です。本来加熱NGであるアルミホイルなどを温めてしまったり、食材を加熱しすぎたことで発火に繋がる危険性は十分あるのですから。

ちなみに筆者の母の場合は、パンらしきものを「チン」し過ぎたことで電子レンジより発火。ボヤで済んだことはもちろん不幸中の幸いだったとはいえ、「ボヤを出した時点で、在宅介護を続けることは難しい」と判断しました。

自分が頑張れば最後まで在宅介護で乗り切れるだろうという根拠のない自信は、いま考えると実に傲慢でした。隣家に飛び火していたらどうなっていたのだろう……。

まとめにかえて

在宅介護から施設入所への切り替えには、金銭面、心理面で高いハードルがあります。

決定的なできごとが起こらない限り、「もう少し、在宅介護を頑張ってみよう……」と気持ちを奮い立たせて介護を行う人も少なくないでしょう。とはいえ家族ができることには限界があります。

認知症介護を経験して何がキツかったかと聞かれれば、「愛情や親切心を踏みにじられるような場面が、日常茶飯事だったこと」と筆者は答えるでしょう。ふつうの介護(あえてこう呼びます)との決定的な違いは、本人と意思疎通が図れないという点。

きれいごとではなく。介護を家族だけで抱えこむことは絶対に避けた方がよいと筆者は考えます。認知症の人を適切な医療機関や介護施設に繋ぐことも、立派な「介護」にあたるのですから。

認知症の進行速度は人それぞれですが、長期戦を覚悟で在宅介護に挑む場合、介護者はじんわりとした重い負荷から逃げることができません。

介護保険サービスを中心とする社会資源や、介護休暇や介護休業を活用しながら、仕事と介護の両立を図り、自分自身の暮らしを守ることも忘れないでください。

苦しい介護生活の中で、介護する側の心のバランスが崩れることは珍しくありません。

使命感に駆られるあまりまわりが見えなくなるケースもあるでしょう。介護者の小さな我慢が積み重なった結果起こってしまう不幸なニュースもしばしば耳にします。

知人や親族など、身近な人にSOSを出せる勇気も忘れずに持っておいてください。

参考資料

佐橋 ちひろ