3. 老人ホームの入所が近づいたある日、母が発した衝撃の一言とは!?

「しかし、住宅型有料老人ホームへの入所が長引くにつれ、母は貯蓄額が目に見えて目減りすることに不安を覚えたのです。

3.1 「援助した住宅購入資金を返して!!」

そしてある日、私に「あなたに渡した住宅購入資金を返してくれ!」と言ったのです。あまりに突然の親からのお金の要求に、私は正直びっくりしました。

「え!?そんなにお金がないの?」と聞くと、「今すぐ生活に困るわけではないが、貯蓄が目に見えて減っていくことが不安だ。父に先立たれたあとの自分の生活が不安で不安でたまらない。」と涙ながらに訴えたのだと、聡子さんは話してくれました。

「今まで真面目にコツコツ貯蓄をしてきて、資産は増える一方であった母にとって、介護費用として目に見えて貯蓄額が減っていくというのは相当な不安だったようです」と、当時を振り返りながら話してくれました。

4. まとめにかえて

本記事はデータを用いながら、介護・医療にかかる費用と年金の関係や、想定外のできごとを、介護経験者の声を交えながらお伝えしました。

「転ばぬ先の杖」ということわざがある通り、介護にどれくらいの費用がかかり、どのようなトラブルが起こるのかを知っていることは、ご自身が親を介護する立場になった時にと役立つことでしょう。

聡子さんのエピソードが、今家族のケアに奮闘するみなさんや、「介護予備軍」たちのヒントとなれば幸いです。

参考資料

佐橋 ちひろ