2024年1月19日に公表された厚生労働省の資料によると、2024年度の厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は23万483円、国民年金の満額は6万8000円であることがわかりました。
これを受け、十分だと感じるか不安に思うかは人それぞれでしょう。
しかし、たとえば今回の相談者のように住宅ローンを返済中であったり、借り入れをしていたりする人にとっては見過ごせない金額かもしれません。
また、定年年齢も引き上げとなり、働き方が多様化しています。一昔前まで60歳で定年が当たり前だったのが今では60歳以降も働く人が増えているのを感じます。
今回は60歳代「おひとりさま」の貯蓄額や保有資産の中身、借り入れ状況をチェックしていきましょう。
1. 60歳代おひとりさま世帯の貯蓄額「中央値は300万円」
金融広報中央委員「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」より、60歳代おひとりさま世帯の貯蓄額を見ていきましょう。
【60歳代・単身世帯の金融資産保有額(金融資産非保有世帯を含む)】
- 平均:1388万円
- 中央値:300万円
- 金融資産非保有:28.5%
- 100万円未満:8.0%
- 100万~200万円未満:5.7%
- 200万~300万円未満:4.3%
- 300万~400万円未満:3.6%
- 400万~500万円未満:2.7%
- 500万~700万円未満:6.2%
- 700万~1000万円未満:4.6%
- 1000万~1500万円未満:6.6%
- 1500万~2000万円未満:3.6%
- 2000万~3000万円未満:6.8%
- 3000万円以上:16.9%
- 無回答:2.5%
60歳代「おひとりさま」世帯の貯蓄額は、平均1388万円・中央値300万円でした。
平均は一部の大きな数値により引き上げられていると考えられる数値です。数値を参考にする際には、より実態に近いとされる「中央値」を参考とするのも一つの手かもしれません。
しかし、28.5%と最も割合が多いのは「金融資産非保有=貯蓄ゼロ」の世帯。次に多いのが貯蓄額3000万円以上の16.9%でした。
多くの人が定年を迎える60歳代。これから退職金を受け取り貯蓄に充てる人もいると考えられます。