厚生労働省の「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、65歳以上の厚生年金受給権者の年金額は、男性が平均16万7388円で女性が平均10万9165円です(2023年12月25日公表)。

外資系に勤める友人から「将来の年金は30万円になる」と聞いた人から、「いくら給与が高いからといって本当にそんなにもらえるの?」という質問をいただきました。

本記事では、年金が30万円もらえる人がいるのかどうかについて解説します。

年金額の計算方法も紹介しますので、年金額を確認したい人は参考にしてください。

1. 年金額の計算方法

老齢年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類があります。

会社員などで厚生年金に加入している人は、両方の年金を受け取れます。最初に、老齢基礎年金と老齢厚生年金の計算方法を解説します。

1.1 老齢基礎年金の計算方法

老齢基礎年金の年金額は、20歳から60歳までの保険料納付済月数によって次の通り計算します。

  • 老齢基礎年金=79万5000円(2023年度、毎年更改)✕保険料納付済月数/480ヶ月

20歳から60歳まで漏れなく保険料を納付した場合、老齢基礎年金は満額の79万5000円(約7万円)受け取れます。

1.2 老齢厚生年金の計算方法

老齢厚生年金の年金額は、加算部分を除くと次の通り計算します。2003年4月以降に初めて厚生年金に加入したものとします。

  • 老齢厚生年金の受給額=平均標準報酬額✕5.481/1000✕厚生年金の加入月数

平均標準報酬額は、厚生年金加入中の標準報酬月額と標準賞与額の総額を厚生年金加入月数で割った金額です。

標準報酬月額と月給、標準賞与額とボーナスは少し異なりますが、平均標準報酬額は、厚生年金加入中の平均年収のおおよそ1/12です。

ただし、標準報酬月額は月65万円、標準賞与額は1回当たり150万円が上限となるため、賞与が年2回の場合、標準報酬額は90万円(※)が最高です。

年収1080万円以上(給与と賞与の割合などによって異なる)の人が該当します。

※90万円=(65万円✕12か月+150万円✕2回)÷12

厚生年金加入中の平均年収が600万円(平均標準報酬額50万円)、40年間厚生年金に加入した場合の老齢厚生年金は、約132万円(月額11万円)です。

老齢基礎年金が満額ならば、老齢厚生年金を加えて年金額は月約18万円となります。

  • 老齢厚生年金の受給額=50万円✕5.481/1000✕480か月=131万5440円