NISA制度の普及などにより、最近投資を始める人が増えています。投資をしている人の中には、2023年に投資で損失が出た人もいるでしょう。

では、投資で損失が出た場合、確定申告は必要なのでしょうか。会社員であれば、確定申告はしなくてもいいのでしょうか。

本記事では、株式投資で損失が出た場合に確定申告をしたほうがいいのかについてわかりやすく解説します。確定申告の時期も紹介するので、参考にしてみてください。

1. 確定申告は2月16日から3月15日

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得について申告し、納める所得税を確定する手続きです。

確定申告の時期は、翌年2月16日~3月15日となっています。そのため、2023年に発生した所得についての確定申告は2024年2月16日~3月15日におこなうことが必要です。

2. 株式投資で損失が出た場合は確定申告したほうがいい

では、株式投資で2023年に損失が出た場合は確定申告すべきなのでしょうか。

結論、損失分についての確定申告は義務ではありませんが、確定申告により支払う税金を減らせるなどのメリットがあります。そのため、損失が出た人は、確定申告がおすすめです。

株式投資で損失が出た場合の確定申告には、「損益通算」と「繰越控除」の2種類があります。

2.1 損益通算

損益通算とは、同年内に投資で発生した利益と損失、配当金などを合算する仕組みです。

例えば、2023年に株式の売却により30万円の利益を出した取引と70万円の損失を出した取引があった場合、利益30万円と損失70万円を損益通算することで損失を40万円とします。

また、2023年に受け取った配当金が10万円ある場合は、配当金と損失を損益通算して最終的な損失は30万円です。

これらの損益通算は、利益や損失、配当金が発生している証券口座がすべて同じ金融機関の口座で口座種類や配当金の受取方法などの条件を満たしている場合、自動で金融機関が損益通算をおこないます。

一方で、それぞれの取引が別の金融機関の証券口座でおこなわれている場合には、確定申告による損益通算が必要です。

確定申告は義務ではないですが、確定申告をしないと利益に対してのみ税金が徴収され、損失分の損益通算ができないため、実質的に損をすることになります(源泉徴収あり特定口座の場合)。

また、株式以外にも投資信託や公社債の取引で発生した利益や損失も損益通算が可能です。

2.2 繰越控除

繰越控除とは、損益通算しても控除しきれない損失について、翌年以降3年間にわたり損失を持ち越す制度です。

例えば、2023年に株式投資の売却により30万円の利益と70万円の損失が出て、損益通算により最終的な損失が40万円だったとします。この場合、確定申告により損失40万円を2024年に持ち越すことが可能です。

2024年に株式投資の売却で100万円の利益が出た場合、2023年から持ち越した損失40万円を差し引いた利益60万円が2024年の最終的な利益となります。利益を40万円減らすことで、納める税金の大幅な減額が可能です。

繰越控除をするには確定申告が必要になるため、忘れずに申告をおこないましょう。