「人生100年時代」といわれる現代。何年続くか不透明なセカンドライフに向け、収入源となる年金はなるべく正確に把握しておきたいもの。

いくら年金をもらえるかを確認するには、“天引き”を考慮しておく必要があります。現役シニア世代のなかには、額面上の受給額と実際の手取り額とのあまりの差に落胆する方も少なくありません。

一方、税金が天引きされない人もいます。今回は公的年金から「税金が天引きされない人」、その対象者や条件について見ていきましょう。

1. 偶数月に支給される年金から「天引き」される5つのお金とは

厚生年金や国民年金などの公的年金から天引きされるお金は、主に次の5つです。

1.1 所得税・復興特別所得税

公的年金は会計上、雑所得となります。つまり、一定以上の金額で所得税が課税され、源泉徴収される形。年金を受け取る時点で、すでに所得税等が天引きされているのです。

また「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律117号)」により、所得税の源泉徴収の際に併せて復興特別所得税もかかります。

1.2 個人住民税

前年の所得に対して、住民税が課税されます。この住民税も、基本的には年金からの天引きで納めます。

ちなみに、住民税が決定されるのは6月。しかし、8月に天引きされるものに関しては昨年度と同じ金額である自治体が多い傾向があります。

1.3 国民健康保険料(税)

国民健康保険とは、協会けんぽや健康保険組合などの会社の保険に加入していない75歳未満の方が加入する公的医療保険のこと。

65歳から74歳までという世帯で一定の要件を満たす場合、国民健康保険の保険料(税)も年金から天引きされます。

1.4 後期高齢者医療制度の保険料

会社の保険や国民健康保険に加入していた方は、75歳に到達すると「後期高齢者医療制度」に加入します。

こちらの保険料も、原則として年金天引きで納めます。また、国民健康保険と後期高齢者医療制度はいずれかの加入になるため、同時に天引きされることはありません。

1.5 介護保険料

40歳以上64歳未満の介護保険料の支払いは加入している健康保険料に含められていますが、65歳以上は「第1号」被保険者として単独で支払うことになります。

この介護保険料も、一定の要件を満たすことで年金から天引きされるものです。

また、介護状態になれば介護保険料を支払わなくてもいいと勘違いする方もいますが、支払いは一生涯続くことに注意しましょう。