みなさんは老後の生活と聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか?

筆者は仕事柄、「老後のお金が心配」という方達とお話しする機会が多いです。

一方で、内閣府「第2節 高齢期の暮らしの動向」によると、老後の経済的な暮らしについて「心配なく暮らしている」と回答した65歳以上の方は68.5%にのぼりました。

この数字だけ見ると、あまり心配する必要が無いように感じますが、今の現役世代も年金だけで十分なのかと考えると結果は異なります。

厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金だけで生活している人は全体の44%にとどまっています。

結果からわかるように、老後生活を考える上では、年金以外のお金をどれだけ準備出来ているかが重要です。

そこで今回は、65歳以上の貯蓄額や年金額などを参考に、長い老後を乗り切るためのお金事情を考察していきます。

1. 65歳以上の貯蓄額の平均値は「2414万円」中央値は?

65歳以上の平均的な貯蓄額について、総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」から見ていきましょう。

こちらによると、世帯主が65歳以上の貯蓄事情は下記の結果になりました。

  • 平均値:2414万円
  • 中央値:1677万円

平均値は全ての数値を足してデータの個数で割ったものなので、極端に大きい(小さい)数値があると引っ張られてしまう傾向にあります。

より実態に近いのは中央値であるといえます。中央値はデータを数値の大きい(小さい)順に並べた時に真ん中にくる値を指します。

中央値は「1677万円」。数字だけ見ると、老後資金の準備ができている人が多いように思えます。

ただしグラフで貯蓄割合の分布をみると、貯蓄格差が生じていることがわかります。

貯蓄額が2000万円以上の世帯は全体の42.5%ですが、一方で1000万円未満の世帯が全体の35.9%となっています。

貯蓄額が300万円の世帯が、全体の約1割(14.4%)である点も気になります。