1. 「住宅ローンの共有名義」とは?
「住宅ローンの共有名義」とは、夫婦2人の収入を合算して住宅ローンの審査に通り、2人の名義で住宅ローンを契約することです。
これによって住宅ローンの借入額の上限を増やすことができ、名義人それぞれが住宅ローン控除を受けることができるようになります。
たとえば夫の年収が1000万円、妻の年収が600万円のパワーカップルだとします。
返済期間35年で金利が年0.475%(変動金利型)の場合、借入可能額の目安は1億2470万円となり、毎月の返済額は32万2327円、総返済額は1億3537万7340円になります。
これに対して同じ条件で夫の収入1000万円のみでローンを組む場合には、借入可能額の目安は7790万円となり、毎月の返済額は20万1357円、総返済額は8456万9940円になります。
共有名義にすることで、4680万円も多く銀行から借入することができるようになります。
さらに共有名義は単に借入金額を増やすことができるだけではなく、名義人それぞれが住宅ローン控除を受けられるようになるメリットがあります。
2. 住宅ローンを共有名義にするデメリットとは?
住宅ローンを共有名義にすることはメリットばかりではないので、この点を良く知っておく必要があります。
住宅ローンを共有名義にするデメリットは以下の通りです。
2.1 共有名義の住宅・不動産を売却する際には、他の共有者の同意が必要になる
具体例の一つに夫婦の離婚があります。
夫婦で共有名義にした場合には、離婚などが原因で夫がマイホームの売却を希望したとしても、共有名義人である妻が売却に反対すると、そのままの状態では売却することができません。
たとえ共有持分の割合が、夫が9割、妻が1割であったとしても共有持分の大小は関係なく、夫が自由に売却することはできないのです。
したがって離婚後にどちらかが自宅に残りたい場合には、住宅ローンを一括返済するか、住み続ける方が新たに借り入れを行って、住宅ローンを一本化する必要が生じます。
しかし数年で離婚してしまった場合には、資金不足から簡単ではないでしょう。
また新たに住宅ローン契約を行う場合には、以前の契約を破棄した方に贈与税が課せられることがあります。