日銀が2023年12月20日に調査した「資金循環統計」によると、2023年9月時点の個人資産は2121兆円で、過去最高額を更新しました。

個人資産が豊富にある人は、老後にゆとりを持って生活できるでしょう。

一方で、手元に資産のない高齢者は、公的年金だけでなく、毎月の収入が増えるようにやり繰りしています。

今回は、高齢者が利用するシルバー人材センターで働いた場合に、いくら稼げるのか解説します。

1. シルバー人材センターとは?

シルバー人材センターは、定年退職した高齢者に地域社会とのつながりを持ちながら働ける組織です。

シルバー人材センターの仕事は、「臨時的・短期的・軽易な仕事」を紹介しています。

目安となる仕事の形態やながれは、以下の通りです。

  • 月10日程度、週20時間を超えないことを目安とした仕事
  • 就業希望の多い仕事は、就業期間として4年間が限度

各自治体によって、シルバー人材センターの仕事の種類が異なります。

たとえば、杉並区では以下の仕事内容があります。

  • 家事援助サービス・育児・福祉支援サービス:継続1時間1270円 単発2時間3220円
  • 出張着付け:1着5400円
  • 家庭教師:1時間3220円
  • パソコン出張サービス:1時間2400円
  • 襖の張り替え:3000円
  • 障子の張替え:1980円
  • あみ戸の張替え:2600円
  • 大工・塗装・水道:日給1万5480円
  • 植木剪定:日給1万6090円
  • 枝切り:単発2時間3680円
  • 除草・落ち葉掃き:1時間1680円
  • 植栽の水やり:20分1377円
  • マンション共用部清掃:1時間1380円
  • 宛名書き:1枚143円
  • 賞状部分筆耕:330円
  • 浴衣の仕立て:9700円
  • 単衣の仕立て:1万5800円
  • ファスナーの取替え:1950円
  • パンツ丈直し:1100円


たいていの場合、シルバー人材センターで週20時間の仕事で10日間の仕事だと、3万円から5万円程度の収入になります。

仮に、植木剪定や大工といった仕事が月に10日間あった場合は、約10万円です。

以上から、シルバー人材センターでは収入として見込める額は、それほど多くないといえるでしょう。

2. 65歳で貯蓄1000万円の人はどれくらい?

60歳代で貯蓄を1000万円蓄えられている人はどれほどいるのか、確認してみましょう。

2.1 2人以上の世帯

金融広報中央委員会が調査した「家計の金融行動に関する世論調査」によると、60歳代で1000万円の貯蓄がある割合は、8.6%でした。

1000万円以上の資産がある割合は、以下の通りです。

  • 1000~1500万円未満:8.6%
  • 1500~2000万円未満:5.7%
  • 2000~3000万円未満:8.8%
  • 3000万円以上:20.3%


およそ10世帯に4世帯が、1000万円以上の資産がある世帯といえます。

ちなみに、60歳代における貯蓄額の平均額は1819万円で、中央値は700万円でした。

老後資産を保有する層と、十分に確保できていない層に分かれているといえるでしょう。

2.2 単身世帯

単身世帯でみると、60歳代で1000万円の貯蓄がある割合は、6.6%でした。

1000万円以上の資産がある割合は、以下の通りです。

  • 1000~1500万円未満:6.6%
  • 1500~2000万円未満:3.6%
  • 2000~3000万円未満:6.8%
  • 3000万円以上:16.9%


およそ3世帯に1世帯が、1000万円以上の資産がある世帯といえます。

また、平均貯蓄額は1388万円で、中央値は300万円でした。

2人以上の世帯と同じく、老後資産を保有している層と、十分に確保できていない層に分かれているといえるでしょう。

3. 貯蓄1000万円だと、シルバー人材センターでいくら稼ぐ必要がある?

65歳の高齢者が、貯蓄1000万円を85歳まで取り崩す場合、毎月の取り崩し額は約4万円となります。

ここで、公的年金がいくら受け取れるのか確認しましょう。

2023年度の公的年金額は、国民年金で月額6万6250円、平均的な収入※で40年間就業した場合に受け取る厚生年金(国民年金を含む)では22万4482円です。

※平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円で計算されたもの

公益財団法人生命保険文化センターの調査によれば、老後の最適な日常生活費は23万2000円が必要とされています。

ゆとりある老後生活費は37万9000円でした。

夫婦どちらも老齢基礎年金のみ支給される場合、13万2500円が公的年金として支払われます。

貯蓄1000万円を切り崩した場合の4万円と合わせると、17万2500円です。

そのため、最低限の生活費としては約6万円が不足します。

シルバー人材センターで働く場合は、週20時間で月に10日は働かないと、不足額は確保できないでしょう。

厚生年金を受給する場合、シルバー人材センターでゆとりある生活資金を確保するために働いてみるのも良いでしょう。

4. 65歳でも仕事が当たり前の時代に

政府は、高齢者の就労を後押しするために、全国のシルバー人材センターに登録する高齢者を対象に、公民館などに働く場を新たに設けて、送迎費用を負担する支援策をまとめる方針を固めました。

今後も高齢者が仕事を継続する仕組みや社会が続くとみられるでしょう。

一方、老後の経済生活に不安を感じ、仕事を続けざるを得ない人も一定数います。

生活費を確保する目的ではなく、これまでのスキルや知識を活かす「やりがい」を働くことで見出せるように、老後の生活資金は確保しておきましょう。

参考資料

川辺 拓也