3. 貯蓄1000万円だと、シルバー人材センターでいくら稼ぐ必要がある?
65歳の高齢者が、貯蓄1000万円を85歳まで取り崩す場合、毎月の取り崩し額は約4万円となります。
ここで、公的年金がいくら受け取れるのか確認しましょう。
2023年度の公的年金額は、国民年金で月額6万6250円、平均的な収入※で40年間就業した場合に受け取る厚生年金(国民年金を含む)では22万4482円です。
※平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円で計算されたもの
公益財団法人生命保険文化センターの調査によれば、老後の最適な日常生活費は23万2000円が必要とされています。
ゆとりある老後生活費は37万9000円でした。
夫婦どちらも老齢基礎年金のみ支給される場合、13万2500円が公的年金として支払われます。
貯蓄1000万円を切り崩した場合の4万円と合わせると、17万2500円です。
そのため、最低限の生活費としては約6万円が不足します。
シルバー人材センターで働く場合は、週20時間で月に10日は働かないと、不足額は確保できないでしょう。
厚生年金を受給する場合、シルバー人材センターでゆとりある生活資金を確保するために働いてみるのも良いでしょう。
4. 65歳でも仕事が当たり前の時代に
政府は、高齢者の就労を後押しするために、全国のシルバー人材センターに登録する高齢者を対象に、公民館などに働く場を新たに設けて、送迎費用を負担する支援策をまとめる方針を固めました。
今後も高齢者が仕事を継続する仕組みや社会が続くとみられるでしょう。
一方、老後の経済生活に不安を感じ、仕事を続けざるを得ない人も一定数います。
生活費を確保する目的ではなく、これまでのスキルや知識を活かす「やりがい」を働くことで見出せるように、老後の生活資金は確保しておきましょう。
参考資料
- 日本銀行「資金循環統計」
- 厚生労働省「高年齢者を取り巻く現状」
- 杉並区「シルバー人材センター料金表」
- 日本年金機構「令和5年4月分からの年金額等について」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」
- 公益財団法人生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」
川辺 拓也