2023年もあとわずか。認知症の実母を近居で介護する筆者は、毎年この時期から確定申告に向けて、医療費の領収書の整理を行い、通帳の記帳を終え、家計簿を眺めて一年間のお金回りを振り返ります。

我が家は訪問介護や訪問診療といった介護保険サービスをフル活用していますが、認知症が一段と進んだこの1年間は、介護費用や医療費以外の「想定外の出費」がものすごく増えた!という印象。

今回は、認知症の母を介護して7年目を迎えた筆者が、今年発生した「想定外の出費」のうち、インパクト高めな3つについてお話ししていきたいと思います。

※認知症の症状や進行具合はその人によって異なります。医療機関を受診し、信頼できる医師の指示のもとで、適切な療養・介護を行ってください。

1. 月8万円の年金なのに「毎月の自動引き落としは5万円超」

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さて、母(80歳・要介護3)の手取りの年金額は、遺族年金も合わせてとひと月8万4000円。

2023年12月、厚生労働省が公表した「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、シニア女性の平均年金月額を見てみると、国民年金だけなら5万4426円、女性10万4878円です。

女性の年金額としては「極端に高くもなく、低くもなく」といったところでしょうか。ちなみに、年金口座から毎月引き落とされている医療・介護系の費用は以下の通りでした。

  • 訪問介護(ヘルパー):5478円
  • 福祉用具レンタル(手すりなど):7890円
  • 訪問リハビリ(マッサージ):5428円
  • 訪問診療(往診):2万4983円
  • 訪問看護(薬の仕分け・入浴介助):5913円

これだけで4万9692円。加えて、電気代を始めとする公共料金なども上乗せで引き落とされていくわけです。もちろん食費などその他の支出がさらに別にかかります。

シンプルに「年金だけじゃ足りない」というわけですね。

もちろん介護保険や高額介護サービス費、高額療養費など、要介護シニアが頼れる公的助成はいくつかあります。また、民間の医療保険に入って備えている人も多いでしょう。

でも、そういった制度ではカバーしきれない出費がとても多くて、結局は貯蓄の切り崩しになるわけです。

認知症が進み判断能力が衰えていくと、日常生活は想定外のできごとの連続です。その中でも、筆者が今年経験したインパクト高めの出費について、次でお話ししていきます。