2. 叱ることは悪いことなのか
メディアで「Z世代は叱られ慣れていない」「パワハラと訴えられる可能性があるから部下を𠮟責できない」というテーマが取り上げられるほど、「叱る」の意味が昭和や平成初期とは大きく変わってきています。
日本とアメリカのプロ野球界で輝かしい実績を残したイチロー氏が、2023年の11月に指導訪問した高校で発言した「今の時代、指導する側が厳しくできなくなって」というコメントからも、しごきが当たり前だった野球の世界でも、厳しい指導から転換しているのが分かります。
社会の空気が変化しており、今の子どもたちは保育所や学校生活で先生、社会に出てから先輩や上司から叱られる機会は親世代よりも少なくなっています。
しかし、それは「叱ることは悪いことだから自分は悪くない」と捉えてしまい、反省することもなく叱ってきた側に文句を言うような子に育つ可能性も秘めています。
注意や叱責に対して文句を言うだけでは自分の成長のチャンスを摘むことにもなり、子どもにとってプラスにはなりません。
3. 「叱らない」ことが自律し、努力する機会を失うことにつながる場合もある
子どもに対して叱ると罪悪感を抱えやすい時代、感情に任せて怒るのはプラスになりません。しかし、愛情を持った「叱責」「お説教」は子どものためになることもあります。
まず、大怪我や命に関わる行動をしている時は叱らなければ危険性を理解しません。
親だけでなく、周囲にいる大人も説教に加われば子どもは「これはやってはいけないこと」と分かります。
冒険のつもりで意気揚々と行動していても、明らかに危険な時は普段よりも大袈裟に叱ると深刻な状態だと受け止めてくれます。筆者も子どもの遊びに付き合う際は少しの怪我で済みそうな行動をしている時は軽く注意をし、万が一怪我をしたら子どもが「これは痛い」と経験する機会と考えていました。
しかし、周囲にいる子どもたちにも影響を与えそうな時や、大怪我をする時は鬼の形相で注意をしました。そうすると子どもの方も「これは危険」と察知し、反省するようになります。
この他にも、勉強をせず怠けてばかりいることでプラスになることはあるのか考えさせてみたり、叱るや説教という行為を通じて子どもの成長を促す側面があります。
叱らないでほめることばかりに力を入れていると子どもは「このままの自分で良い」と考え、自分を律して努力する機会を失うことにもなります。
これは子どもにとっては不幸なことです。子どもの能力を伸ばしてあげたいと考えているなら、意味のある「叱る」「説教する」ことは子育てをする上で必要な行為です。