総務省のスマートフォン割引規制が、2023年12月27日より始まる。
電気通信事業法施行規則等の一部改正によるものである。
施行は当初2024年1月1日となっていたが、2023年12月27日施行に前倒しとなった。
スマートフォンの過剰な割引規制の象徴とも言える、「1円端末」はいまだに店頭で販売され続けている。
過度な端末割引を明確に規制し、「転売ヤー対策」を本格化する。
なお、家電量販店やショッピングモールで見掛ける「実質11円」「実質22円」(「実質1円」も?)は今後とも継続するであろう。
なぜなら、現在主流の販売方法は「25ヶ月目に返却」するものであり、「購入」ではなく「レンタル」であるためである。手元に残したい場合は残金の数万円を支払うことになるため、「11円」や「22円」では済まない。
1. スマートフォンの割引規制
スマートフォンの割引規制と聞くと、総務省の規制を思い浮かべる人も多いのではないか。
しかしながら、公正取引委員会も2016年8月に「(平成28年8月2日)携帯電話市場における競争政策上の課題について(概要)」を公表している。
2016年は、
- 「iPhone 7/7 Plus」
- 「iPhone SE」
- 「Galaxy S7 edge」
- 「Xperia XZ/X Compact」
が発売されるなど、スマートフォン全盛期であった。
2016年前後は、「1円販売」などまだ良い方で、複数回線同時乗り換え(MNP)で
- 最新スマートフォンが一括0円
- 通信料も割引(月々サポート、毎月割など)
- キャッシュバックあり
とすべてが適用される販売条件が至る所に存在していた。
対策のために、総務省では、2017年12月より検討会が開催、2018年4月には報告書が提出された。
そして、2019年5月には「電気通信事業法の一部を改正する法律」(2019年10月1日施行)が国会で成立した。
法改正により、回線契約時のスマホ値引き上限が2万2000円に制限されることとなった。
2. 法律の抜け道と対策
改正法の値引き規制のみに焦点をあてると、回線契約時のスマホ値引き上限は2万2000円となった。
しかし、端末単体の値引き(いわゆる「白ロム割引」)は制限されておらず、回線契約時の割引と組み合わせることで、「実質」上限なしに割引が可能となっていた。
法律の抜け道は拡大していき、転売ヤー対策が急務となっていた。
そこで、2023年9月8日に行われた総務省の有識者会議にて「競争ルールの検証に関する報告書 2023」が取りまとめられた。
報告書では、
- 割引額の上限は端末価格に応じて最大4万4000円まで
とすることが適当であるとされた。
「2万2000円から最大4万4000円に変更」ではなく、「2万2000円+無制限から最大4万4000円に変更」されたのである。
「最大」の意味は、以下のとおりである(金額はすべて税込み)。
- 端末価格8万8000円超:割引額4万4000円
- 端末価格4万4000円~8万8000円未満:割引額は端末価格の50%
- 端末価格4万4000円以下:割引額2万2000円(端末価格が上限)
2023年11月22日、総務省は、電気通信事業法施行規則等の一部改正について、情報通信行政・郵政行政審議会から答申を受けた。
上記は、「電気通信市場検証会議 競争ルールの検証に関するWG」において取りまとめられた「競争ルールの検証に関する報告書2023」を踏まえ、電気通信事業法施行規則(昭和60年郵政省令第25号)等の一部を改正するものである。
電気通信事業法施行規則等の一部改正は、2023年12月に公布され、2023年12月27日より施行される。
2.1 (参考)割引額の根拠
税込み4万4000円、税抜き4万の割引には根拠があり、総務省の有識者会議にて議論した「競争ルールの検証に関する報告書 2023」では以下のようになっている。
- ARPU(1ユーザーあたりの売り上げ、3年平均):4137円/月
- 営業利益率(3年平均):18.9%
- 端末の使用年数:53.2ヶ月
4137円 × 18.9% × 53.2ヶ月 = 4万1597円となることから、上限額を4万円(税抜き)としている。
3. NTTドコモの対応(一部の割引が終了)
NTTドコモは、規制開始に伴い、公式のドコモオンラインショップにて、2023年12月26日をもって割引が終了する旨を公表した。
「オンラインショップ限定 機種購入割引」「オンラインショップおトク割」が終了となり、以下の割引は2023年12月26日「23時」までとなる。
3.1 終了となる「オンラインショップ限定 機種購入割引」
- 11インチiPad Pro(第4世代) 1TB:6万6000円割引
- 11インチiPad Pro(第4世代) 2TB:6万6000円割引
- Galaxy Z Flip4 SC-54C:5万1700円割引
- arrows N F-51C:4万0700円割引
- iPhone 14 512GB:2万2000円割引
- iPhone 14 Plus 512GB:2万2000円割引
- AQUOS R7 SH-52C:2万2000円割引
- dtab Compact d-52C:2万2000円割引
- dtab d-51C:2万2000円割引
3.2 終了となる「オンラインショップおトク割」
- Xperia 5 IV SO-54C:3万3000円割引
- Galaxy S23 SC-51D:2万2000円割引
- Galaxy Z Flip5 SC-54D:1万5400円割引
- Galaxy S23 Ultra 256GB SC-52D:1万1000円割引
- AQUOS R8 SH-52D:1万1000円割引
※読者のご指摘により文章を一部修正しました(2024年1月29日PM17:50)
参考資料
- 総務省 「電気通信事業法施行規則等の一部改正(「競争ルールの検証に関するWG」の議論を踏まえた規定整備)」
- 総務省 「電気通信事業法施行規則等の一部改正に関する意見募集の結果及び情報通信行政・郵政行政審議会からの答申」
- 総務省 「競争ルールの検証に関する報告書 2023」
- 総務省 「日々の生活をより豊かにするためのモバイル市場競争促進プラン」
- 総務省 「電気通信事業法の一部を改正する法律」
- 公正取引委員会 「(平成28年8月2日)携帯電話市場における競争政策上の課題について(概要)」
- ドコモオンラインショップ 「12月26日終了】「オンラインショップ限定 機種購入割引」「オンラインショップおトク割」の終了について」
石川 貴康