4. 後期高齢者が負担する保険料の見直しは2024年、2025年の2年間で段階的に

2024年度から、後期高齢者が負担する保険料が見直されますが、実際に引上げとなるのは以下の2つです。

  1. 前年の所得に対して掛ける「所得割率」は、現状の所得割率である「9.87%」から、0.83ポイント増しの「10.70%」へ引上げされます。
  2. 保険料負担額の上限となる「賦課限度額」は、現状の「66万円」から、2024年度は、6万円増の「73万円」へ、2025年度は、さらに7万円増しの「80万円」に引き上がります。

ただし、この改正で保険料に影響があるのは、後期高齢者の中でも収入が多い人であり、後期高齢者医療制度の被保険者の全体に対しての割合は4割ほどが見込まれます。

保険料率の引き上げの対象となる高齢者は、2024(令和6)年度であれば「年金収入が211万円を超える人」、2025(令和7)年度は「年金収入が153万円を超える人」です。

4.1 2024年度以降の後期高齢者医療制度保険料の具体的な増加額は?

改正健康保険法で、後期高齢者の負担する保険料が増える人は、どのくらい増えるのか、厚生労働省による試算の結果で確認してみましょう。

収入別の後期高齢者1人当たり保険料額

出所:厚生労働省「医療保険制度改革について」

厚生労働省の試算によると、2024(令和6)年度は、年収200万円であれば、年間保険料額が8万6800円で、制度改正前と負担額は変わりません。

しかし、年収400万円になると、年間保険料が23万1300円。

制度改正前と比べて、負担額が1万4000円増えます。

さらに、年収1100万円になれば、年間保険料額は73万円(賦課限度額)となり、制度改正前と比べ負担額は6万円増えることになります。

また、2025(令和7)年度になると、年収200万円は、年間保険料額が9万700円となり、前年よりも3900円増えます。

しかし年収400万円は、前年と同じ年間保険料の23万1300円です。

年収1100万円になれば、賦課限度額が上がるため年間保険料額は80万円となり、前年より7万円増額になります。

5. 年収が多いほど後期高齢保険料の負担は高まる

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後期高齢者が負担する保険料は、年収が多ければ多いほど負担が増えます。

年金の他にも収入がある高齢者の方は、家計の負担が増える可能性が高いため注意が必要です。

しかし、年金収入153万円未満の方は制度改正前と比べ、負担が増えることはなさそうです。

※2023年12月18日内容を一部修正しました。

参考資料

舟本 美子