1.1 厚生年金は男女間でも差がある
厚生年金は男女別の平均受給額に差が生じています。
同じく厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、男性の平均受給額は16万3380円であるのに対し、女性の平均受給額は10万4686円となっており、男性の方が女性よりも約6万円多くなっています。
厚生年金の受給額は現役時代の年収が関係し、高収入の方ほど受給額が高くなる傾向があります。
女性は結婚や出産のタイミングで退職したり勤務時間を短縮したりするケースがあり、子育てが落ち着いてから復職しても以前のような収入が得られないことも少なくありません。
こういった事情から、女性は男性と比較して収入が少なく、厚生年金の受給額も少なくなることが考えられます。
2. 老後の生活に不安のある方は82.2%
現在年金受給中の方や将来年金を受給する方は、老後の生活についてどのように考えているのでしょうか。
生命保険文化センターは「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」において、18歳〜79歳の男女に対し「老後生活に対してどのくらい不安を感じているか」と尋ねました。
その結果、「非常に不安を感じる・不安を感じる・不安を感じる」と老後生活に何らかの不安を感じている方が82.2%もいる結果となりました。不安を感じていないという方はわずか15.9%にとどまっています。
また、男女別にみると男性は78.5%、女性は85.1%と、女性の方が老後生活に不安を感じる方が多いようです。
ただし、調査を時系列に見ると、2013年以降、不安を感じる方の割合は減少傾向にあります。とはいえ、8割以上の方が不安を感じているのは見逃せない事実です。
2.1 最も不安なのは「公的年金だけでは不十分」なこと
では具体的に、調査に回答した方々はどのような不安を感じているのでしょうか。
老後の生活における主な不安として、以下のような理由が挙げられています。
- 公的年金だけでは不十分:79.4%
- 日常生活に支障が出る:57.3%
- 自助努力による準備が不足する:36.3%
- 退職金や企業年金だけでは不十分:31.4%
- 仕事が確保できない:29.2%
- 配偶者に先立たれ経済的に苦しくなる:21.3%
- 貯蓄等の準備資金が目減りする:21.0% など
最も多く回答があったのが「公的年金だけでは不十分」という理由で、年金だけでは老後の生活費をカバーできないのではないかと不安に感じている方が多いようです。
ほかにも、退職金や企業年金を受け取っても安心できないことや貯蓄が目減りすることなどにも不安を感じているようです。
仕事が確保できないと回答した方もいるように、老後は現役時代と同様に働いて収入を得ることが難しくなることも不安な要素となっています。