おひとりさまは老人ホームへの入居や入院はできるの?

結論を先に述べると、おひとりさまは老人ホームへの入居も入院も「可能」です。

例えば、前述の「成年後見制度」を利用している人であれば、老人ホーム入居の際に身元保証・手続きなどで求められる役割の多くをこの制度によってカバーできます。

ただし、成年後見人は「保証人」の役割は果たせません。老人ホームの入居にあたって保証人がどうしても必要な場合は「保証会社」を利用することになります。

頼れる人も成年後見人もいない場合は、地域の包括支援センターや介護支援の窓口などに状況を説明することで、現在の状況で受け入れてもらえる施設を紹介してもらえることもあります。

入院については、診察に従事する医師が診察治療を求めた人に対して身元保証人・身元引受人がいないことのみを理由に拒否することは、医師法19条1項に抵触するものとされています。

また、病院は身寄りがない人の入院にあたって市町村や社会福祉協議会などと連携することもあります。

ただし実際問題として、身寄りがないことを理由に受け入れを断る病院もなきにしもあらずであるため成年後見人がいると安心です。

おひとりさまは「介護支援」についてよく確認しておこう

おひとりさまの中には自宅での自立した生活が困難になった際、どうなるのだろうかと不安を抱えている方は多くいます。

もちろん医療や介護を受けることはできますが、問題なのは病院や介護サービスにアクセスできるか、支援の対象から漏れないかというところにあります。

例えば、認知症で判断力が低下した場合、認知症であるという自覚症状は一般的にないため何か大きな問題が生じて、第三者が介入するまで取り残されることもあります。

あるいは、治療が必要な場合でもひとりで我慢してしまったり、自宅で倒れていても気付かれなかったりということも懸念されます。

老後も自分が思い描くような暮らしを営みたい方は老人ホームへの入居、資産管理、入院時の対応方法などについて早いうちから決め、準備しておくことが大切です。

参考資料

西田 梨紗