2023年11月24日に発表された、総務省による「消費者物価指数」ですが、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は前年比同月比3.3%増となっています。

物価高が続くと、多くの世帯で家計に影響が出てくるでしょう。一方で、富裕層と呼ばれるお金持ちにとってはどうでしょうか。

「富裕層」と聞くとお金に困ることは無く、細かな値上げなど全く気にしないとイメージされる方も多いでしょう。

しかし、元金融機関の職員として資産家の方と接してきた筆者の経験では、お金へのこだわりは徹底される印象が強かったことを覚えています。

国税庁による「令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、富裕層による申告漏れは過去最高の980億円に上ることがわかりましたが、多くの富裕層はしっかりとお金を管理されています。

そこで今回は、富裕層にスポットをあてお金へのこだわりや実態について考察していきます。

1. 富裕層って何?1億円以上の資産家の割合は約2.6%

そもそも富裕層といっても、資産の目安などはあるのでしょうか。

一例として野村総合研究所によると、資産1億円を超える層を富裕層と分類しています。

2023年3月1日に公表された最新のデータによると、資産1億円超の世帯は148万5000世帯であり、全体の約2.7%が該当しています。

内訳をみると、資産1億円以上~5億円未満が約2.6%(139万5000世帯)で、5億円以上が約0.2%(9万世帯)。

インフレにより資産の価値が今後変わっていけば、定義が変わる可能性もあるでしょう。

いずれにしても、「狭き門」といえる富裕層ですが、実は日本では2005年と比べて62万世帯が富裕層の仲間入りを果たしました。

「不況」「失われた30年」などと評される現代において、なぜ富裕層の数は着実に増えているのでしょうか。