とはいえ、おひとりさまが裕福なわけではない

近年、未婚者が増加している原因として「経済的事情」が挙げられます。

給与所得が30年ほど上がらず、税率も高まっている昨今。若者の多くが自分を養うのに精一杯であり、結婚や出産を考えられない状況におかれています。

また、氷河期世代の中には不安定な雇用をよぎなくされており、結婚を前向きに考えられない方も少なくないでしょう。

これらのことは、単身者の1カ月の支出にも垣間見ることができます。総務省統計局「家計調査(単身)勤労世帯」によると、2022年における単身者の1カ月の消費支出は16万1753円という結果でした。

必要な生活費を16万円以内に抑えるには節約を意識することはもちろん、頻繁に外食したり、ある程度の価格の洋服や不必要な日用品をむやみやたらに購入したりすることは難しいでしょう。

貯蓄額は二人以上の世帯の方が多い傾向に

おひとりさまが経済的にゆとりがあるわけではない状況は、二人以上の世帯の貯蓄額と比較することでよく分かります。

40歳代・単身世帯の金融資産保有額(金融資産非保有含む)

平均値657万円、中央値53万円

  • 金融資産非保有    35.8%
  • 100万円未満      14.8%
  • 100~200万円未満   5.9%
  • 200~300万円未満   4.9%
  • 300~400万円未満   6.2%
  • 400~500万円未満   2.8%
  • 500~700万円未満   2.8%
  • 700~1000万円未満   3.1%
  • 1000~1500万円未満 7.7%
  • 1500~2000万円未満 2.5%
  • 2000~3000万円未満 4.0%
  • 3000万円以上      5.9%
  • 無回答        3.7%

40歳代・二人以上の世帯の金融資産保有額(金融資産非保有含む)

平均値825万円、中央値250万

  • 金融資産非保有      26.1%
  • 100万円未満     11.1%
  • 100~200万円未満   7.2%
  • 200~300万円未満   5.4%
  • 300~400万円未満   5.5%
  • 400~500万円未満   4.2%
  • 500~700万円未満   7.9%
  • 700~1000万円未満   7.3%
  • 1000~1500万円未満 7.4%
  • 1500~2000万円未満 3.8%
  • 2000~3000万円未満 5.2%
  • 3000万円以上      4.9%
  • 無回答        3.8%

40歳代の単身世帯と二人以上の世帯の金融資産を比較すると、平均値と中央値のいずれにおいても二人以上の世帯の方が200万円程度多くなっています。

実態により近いと言われる中央値については、単身世帯は53万円と少々心もとない金額である一方、二人以上の世帯については250万円ものまとまった金額です。

金融資産非保有の割合も二人以上の世帯よりも単身世帯の方が多いという結果になりました。

また、単身世帯の金融資産保有額は400~700万円といった中間的な金額が極端に少ない点も気になります。つまり、金融資産を多く保有する人とそうでない人の差がはっきりしているということです。

なお、1000万円以上の金融資産をもつ人は単身者が20.1%、二人以上の世帯が21.3%とほぼ変わらない結果になりました。