12月になると、会社員や公務員の方などは勤務先から年末調整の書類が配布されます。
年末調整は、毎月の給与から源泉徴収された税金の合計額と、年間の税額を一致させるための手続きで、配偶者控除や住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)など各所得控除が受けられます。
所得控除のひとつに「生命保険料控除」がありますが、自分名義のものだけでなく妻名義のものでも控除を受けられるのでしょうか。受けられる場合の条件や注意点などについて解説します。
妻の生命保険は年末調整で控除可能?
夫の年末調整で妻名義の生命保険料控除を受けられるかどうかは、「誰が保険料を支払っているのか」によって決まります。
夫が保険料を払っていれば控除できる
妻名義の生命保険の保険料を夫が支払っていれば、年末調整で生命保険料控除を受けられます。
「生命保険の契約者(名義人)=保険料支払者」であることは特に求められておらず、あくまでも実際に保険料を支払った方が所得控除を受けられるのです。
生命保険の契約においては、一般的に契約者=保険料支払者であることが多いですが、保険料支払者が別の方であっても保険料を支払ったことが明らかにできれば控除可能です。
なお、生命保険料控除は親族(妻、六親等内の血族、三親等内の姻族)名義の分が対象なので、妻だけでなく子どもや親名義の生命保険でも夫が保険料を支払っていれば控除を受けられます。
子どもの学資保険や親の医療保険などの保険料を支払っている方は忘れずに申告しましょう。
妻が払っている場合は控除できない
一方で、妻名義の生命保険の保険料を妻自身が支払っている場合は、夫は生命保険料控除を受けられません。妻が勤務先で年末調整を行う際に受けられます。
ただし、妻が専業主婦であったり夫の扶養の範囲内でパートなどで働いていたりする場合は年末調整を受けられません。というのも、年末調整は課税所得がない場合は受ける必要がないためです。
妻名義の生命保険の保険料も夫の年末調整で所得控除を受けたい場合は、保険料支払者を夫に変更する必要があります。
夫が支払っていることを明らかにするために、夫の口座から引き落としをするよう手続きすると証明しやすくなります。
控除を受けられる金額は限度がある
妻名義の生命保険の保険料を夫が支払っており、支払いの事実が明らかであれば生命保険料控除を受けられますが、控除を受けられる金額には限度があることに注意しましょう。
生命保険の控除額は、新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約)と旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約)に分けて計算し、それぞれで控除額の上限が決められています。
所得税において、新契約では新生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料それぞれで最高4万円まで控除でき、合計12万円までとなります。
一方、旧契約では旧生命保険料・旧個人年金保険料それぞれで最高5万円まで控除でき、合計で10万円までとなります。
【新契約の控除額を求める計算式】
(新生命保険料・介護医療保険料・新個人年金保険料共通)
- 2万円以下:保険料の全額
- 2万円超4万円以下:保険料×1/2+1万円
- 4万円超8万円以下:保険料×1/4+2万円
- 8万円超:一律40,000円
新契約分は、保険料が8万円を超えると一律4万円控除となるため、夫の生命保険料だけで8万円を超える場合は妻の生命保険料控除を受けても控除額は変わらないことになります。
【旧契約の控除額を求める計算式】
(旧生命保険料・旧個人年金保険料)
- 2万5000円以下:保険料の全額
- 2万5000円超5万円以下:保険料×1/2+1万2500円
- 5万円超10万円以下:保険料×1/4+2万5000円
- 10万円超:一律5万円
旧契約分は保険料が10万円を超えると一律5万円の控除額になるため、夫の生命保険だけで10万円を超える場合は妻の生命保険料控除を受けるメリットはなくなります。
なお、新制度と旧制度の生命保険を契約している場合は、それぞれ計算の上合計しますが、合計した場合は4万円が上限になります。
住民税も控除を受けられる
生命保険料控除は、所得税だけでなく住民税でも控除を受けられます。控除額の上限は新契約・旧契約ごとに以下の通りです。
なお、住民税における合計適用限度額は7万円です。特に新契約については、3つの保険の合計額と異なるため注意しましょう。
まとめにかえて
妻名義の生命保険料を夫の年末調整で控除を受けるには、夫が保険料を支払っていることが条件です。保険料の支払い方法を口座引落にするなどして、支払っていることを明らかにしておきましょう。
なお、年末調整で生命保険料控除を受けられなかった場合は、確定申告で控除を受けられます。2023年分の確定申告期間は2024年2月16日(金)〜3月15日(金)の予定です。
所得控除を受けられるほど税金の支払い負担が軽減されるので、当てはまるものはもれなく申告しましょう。
参考資料
- 所得税法 | e-Gov法令検索(第七十六条)
- 国税庁「妻名義の生命保険料控除証明書に基づく生命保険料控除」
- 国税庁「No.1140 生命保険料控除」
- 調布市「住民税の所得から差し引かれる金額(医療費控除・生命保険控除・配偶者控除・扶養控除など)
木内 菜穂子