2. 手元の資金をしっかりと確保する
収入が限られる老後の暮らしでは、「自宅のリフォームが必要になった」、「長期入院することになった」など、大きな出費に悩まされることがあります。
もちろん医療費などは公的な健康保険でカバーできる部分もありますが、差額ベッド代のように自己負担が生じることも少なくありません。
もし、退職金のほとんどを運用に回している場合、こうした出費に対応するために金融商品を売却することとなってしまいます。
市場の状況によっては、損失が出てしまうこともあるでしょう。
突発的な支出にスムーズに対応するためには、退職金の一部を預貯金などに確保しておくことが大切です。
3. 一括投資にこだわらない
退職金のようにまとまった資金を運用に回す場合、一括投資を前提に投資計画を立ててしまいがちです。
しかし、一括投資は買い付けたときの水準で損益が左右されるため、結果的に「高値で買い付けてしまった」と後悔するケースもあります。
よりリスクを分散しながら運用するためには、買い付けるタイミングを分散することを検討してみましょう。
たとえば、1000万円を運用に回す場合、「200万円を5回に分けて買い付ける」など、複数回に分けることで高値掴みするリスクを低減できます。
退職金の運用はしっかりと計画を立てて取り組もう
退職金は老後の暮らしを支える大切な資金です。
長生きのリスクに備えるためには、退職金を運用に回すことが欠かせません。
しかし、その際はハイリスクな運用になりすぎたり、運用比率が高くなりすぎたりしないように、しっかりと運用計画を立てて取り組みましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」
- 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 退職給付(一時金・年金)の支給実態」
- 厚生労働省「平成30年就労条件総合調査 退職給付(一時金・年金)の支給実態」
- 厚生労働省「平成25年就労条件総合調査 退職給付(一時金・年金)の支給実態」
- 厚生労働省「平成20年就労条件総合調査 退職給付(一時金・年金)の支給実態」
椿 慧理