筆者が資産運用のご相談を承る際、年金の「繰上げ受給と繰下げ受給」がどのような制度かたずねてみると、大半の方はわからないと回答されます。

特に日本は平均寿命が延び続け、世界でも長寿の国として知られています。

100歳を超える方は全国で8万人を突破しました。まだまだ伸び続ける平均寿命に対して、物価の上昇も比例するかのように伸びています。

もし年金だけで老後が不安という場合は、「繰下げ受給」を利用すると年金を増額できます。

仮に年金月額が15万円という場合、最大で27万6000円にまで増やせる魅力的な制度ではありますが…今回はあえてデメリットについて解説していきます。

1. 年金の繰下げ受給の仕組み。増額率はどれぐらいか

年金の繰下げ受給とは、本来65歳からの年金の支給開始を遅らせることによって、その受給額を増額させるものです。

繰下げ受給は1ヶ月単位で可能で、月あたり0.7%増額されます。

1.1 【しくみ図】繰下げ受給とは

最大75歳まで繰下げることができます。月ごとの増額率を【早見表】でも確認しましょう。

1.2 【早見表】年金の繰下げ受給で増額率はどれぐらい?

70歳まで繰下げると42%、75歳まで繰下げると84%増額されます。

厚生年金の平均受給額は、2021年度末時点で約14万円。もし月15万円の支給額であれば、75歳まで繰り下げると27万6000円になります。

これほど年金が増えるのであれば、できれば75歳まで受給を我慢して年金を増やしたいと思う方もいるでしょう。