2. 厚生年金と国民年金の「繰下げ受給実施率」は何パーセントか

ただし、繰下げ受給の実施率はそこまで高くありません。65歳より前に受給することで年金額が減額になる「繰上げ受給※」の実施率とともに見ていきましょう。

※繰上げ受給は最大60歳まで可能。減額率は原則1カ月につき0.4%です

2.1 国民年金の繰上げ・繰下げ受給状況の推移

【国民年金の繰上げ・繰下げ受給状況の推移】

出所:厚生労働省「令和3年 厚生年金保険・国民年金事業年報」

繰上げ受給の実施率は、2021年度で11.2%。実は年々低下しています。

一方、繰下げ受給の令和3年度は1.8%で、少しずつですが増加しています。

【国民年金 老齢基礎年金(25年以上)受給者状況の推移】

出所:厚生労働省「令和3年 厚生年金保険・国民年金事業年報」

国民年金の繰上げ・繰下げした場合の受給額は上の表の通りです。

繰上げの場合、本来の受給額よりも約月1万4000円低くなり、繰下げの場合、約月1万8000円多くなっています。

繰下げ受給はこれまで最大70歳でしたが、2022年4月から最大75歳となりました。これにより、受給額の差は今後大きくなっていくでしょう。

2.2 厚生年金の繰上げ・繰下げ受給状況の推移

【厚生年金の繰上げ・繰下げ受給状況の推移】

出所:厚生労働省「令和3年 厚生年金保険・国民年金事業年報」

厚生年金の繰下げ受給は1.2%で、国民年金よりも低い上京にあります。ただし、年々増えてはいるようです。

国民年金のみ繰下げて、厚生年金は繰下げないという選択をとっている人もいることがわかります。

ここまで実施率が低いのには、制度があまり普及していないことも要因ではあります。ただし、慎重に検討した結果見送る方もいます。

次ではあえて、「繰下げ受給のデメリット」に注目してみましょう。